加速度的に世界で存在感が失われている日本のゲノム研究
加速度的に世界で存在感が失われている
日本のゲノム研究
2010年11月15日
Biotechnology Japan:Webmasterの憂鬱
詳細は、リンクを参照して下さい。
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2003年4月にヒトゲノム計画が完了
しました。
米国、英国に次いでヒトゲノム解読に
貢献した日本だが、その後の研究開発の
展開は欧米と日本では大きく袂を分かつ
結果となりました。
ヒトゲノム計画完了後、米国は
ヒトゲノム計画を米国の国民の健康維持と
増進に貢献させるべく、ヒトの多様性を
解析するハップマップ計画、
エンコード計画、1000人ゲノム計画、
がんゲノムプロジェクト(米国では先行し、
がんゲノムアトラス計画)、そして今年
から1000エピゲノム計画を開始しました。
更に、ヒトゲノム解析の大衆化、医療
技術化を加速するために、大幅な解析
コストダウンを目指した
1000ドルゲノム計画を、2004年から始動
したのです。
英国はWellcome Trustを中心に、大規模
DNAシーケンス施設を整備、米国と共に
国際的なゲノム関連プロジェクトに参加、
プロジェクトを牽引しました。
加えて、遺伝子機能の解析研究に注力し、
巨大なノックアウトマウス施設を運営
しています。
更に、オーダーメイド医療実がん化研究
プロジェクトで我が国の理化学研究所と
東大が実証したゲノムワイド連鎖不平衡解析
(GWAS)を大規模に展開、疾患関連遺伝子
の探索を急速に進めています。
加えて、2006年から世界最大のゲノム
コホート研究、UK BIOBANKを開始、現在、
40歳から69歳までの50万3316人の
市民を登録することに成功しています。
英国の国民皆保険サービス(NHS)の
電子カルテ情報も統合し、前向きの疾患
遺伝子探索研究を展開しているのです。
GWASで発見した疾患関連遺伝子の臨床
評価に必要なプラットフォームを構築
しました。
我が国では、ヒトゲノム計画完了で
ゲノム研究は終わったという政府や学会の
誤った判断により、ゲノム関連の国際
プロジェクトでの存在感はハップマップ計画
をピークとして、どんどん薄まっています。
1000人ゲノム計画にはとうとう未参加に
終わり、アジアの代表は中国BGI(世界最大
のゲノム解析能力を持つ研究機関・会社)
にとって代わられた。
がんゲノム計画でもGDPに比べると
限定的な参加となっています。
しかも、21世紀のゲノム医療の中核となる
1000エピゲノム計画の参加も躊躇している
有様です。
我が国のゲノム科学の問題をまとめると、
1)学際で、総合的な科学的視点を提唱
できる研究者や行政官の不足、
2)政府資金の不足と科学研究の政府資金
依存体質、
3)大規模シーケンス解析施設が存在して
いないこと、
4)ゲノム解析技術開発企業とゲノム解析
サービス企業の未発達、
5)製薬企業と厚労省のイニシアチブ不足
によるビジネスモデルの不確実性、
6)医療関係者と市民の遺伝学への認識
不足、
7)世の中の変化への対応が遅い生命倫理
学者など、問題は山積みです。
財務省がやるべきは、研究開発に対する
強力な減税措置です。
賢明なアメリカは、今年、
バイオベンチャーに対する研究投資に
1000億円の減税を認めています。
日本の政府も、事業仕分けなどより、
歳入を減税によって削減すれば、仕事も
当然削減されるはず。
但し、今の政府ではリストラできず、
国債を増発するという悪の選択もしかね
ないので、監視しなくてはなりません。
皆さんはどう思われますか?
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なんとも情けない状況のように
思われます。
正しい舵取りをする人材がいない。
名古屋の河村たかし市長の発言に似て
来ましたね。
>事業仕分けなどより、歳入を減税に
>よって削減すれば、仕事も当然削減
>されるはず。
お金がないのだから余計な仕事はできない
→仕事を減らす→人を減らす→お金を削減
できる。
としなければ、駄目では?
お金は必要なところに投下しなければ
いけません。
そのお金を工面するために、
何をなさなければならないのか?
これ以上借金は駄目でしょう。
効果のでない事業仕分けなどにお金を
かけるより、減税も良いかもしれません。
無駄な議論ばかりしているのなら国会議員
の定数削減もありでは?
よっぽど効果があると思います。
と言いたくなる。
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