学ぶべき経営のお手本はすぐ隣の国にある 素直に謙虚に学ぶことの大切さを再確認せよ 神戸大学大学院経営学研究科教授 加登 豊
学ぶべき経営のお手本はすぐ隣の国にある
素直に謙虚に学ぶことの大切さを
再確認せよ
神戸大学大学院経営学研究科教授 加登 豊
2010.11.08 DIAMOND online
詳細は、リンクを参照して下さい。
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<注目すべきは欧米ではなく中国、
韓国の企業>
日本には他国から学ぶことで成長して
きた脈々とした歴史がある。
しかし、バブル経済の崩壊後、この学び
の姿勢が欠落しつつあるように感じる。
日本企業の躍進が誰の目にも明らかに
なり始めた時、人まねを極端に嫌う
アメリカでさえ、日本から謙虚に学ぼうと
した。
その活動の詳細は、『Made in America
―アメリカ再生のための米日欧産業比較』
(草思社、1990年、原著は1989年出版)
に記述されている。
最先端から学ぶこと、繰り返しになるが、
これこそが競争を続けるための唯一の王道
である。
さて、日本企業にとって喫緊の課題は、
更なるグローバル化対応、とりわけ、大量
消費が期待できる成長国群であるBRICs
諸国への対応である。
最先端から学ぶことが大切であると
すれば、注目すべきは中国企業と韓国企業
だろう。
日本の歴史という視点から見ると、欧米
からの学習の歴史は、中国や韓国からの
それと比べると非常に短い。
私たちには欧米偏重意識が刷り込まれて
いるが、隣国の競争企業の発想や行動から
学ぶことが、特にいまは大切だと
思われる。
学ぶべきことは多数あるが、ここでは、
韓国企業の二つのトピックスについて説明
したい。
一つは、市場国在住の韓国人の活用、
そして、もう一つが、熱心な経営知識の
習得努力である。
かつてアメリカの家電量販店のテレビ
売り場は、ほぼ日本製品で独占されていた。
しかし、現在は、その存在感は乏しい。
棚の8割以上は三星電子(サムスン)と
LG電子の商品で占められている。
なぜこのようになってしまったの
だろう。
日本企業は懸命にその原因調査を行って
いるが、多くの場合は、調査会社や
コンサルティング会社にその業務を委託
している。
実は、そんなことをしなくても、本当の
理由はすぐに明らかになる。
どうすればいいのか。
アメリカ社会にとけ込んだ自国系
アメリカ人や、自国人に聞けばよい
のである。
彼らはアメリカ社会のすべてに精通して
いるからである。
コンサルティング会社、コンテンツ
作成会社、そして採用したタレントに多額
の契約金を支払いながら、成果を上げて
いないにもかかわらず、何度もおなじ失敗
を繰り返す日本企業の行動は、極めて
不可解である。
<経営学研究成果をどん欲に学ぶ
韓国企業>
韓国企業は、いくつかの産業分野で
トップの地位をより確実なものとしつつ
あるが、アメリカや中国や日本のように、
その地位に安住しようするのではなく、
常に最先端の知識を獲得することにどん欲
である。
技術や特許/法律などの分野では、
日本企業も研究調査を実施している
だろうが、マネジメントに関する
研究/学習を行う企業はほとんど存在
しない。
一方、欧州や韓国の大規模組織内には、
必ず経営学の成果を吸収し、それが実務へ
適用できるかどうかを検討する部署を設置
したり、グループ企業内に
コンサルティング会社や研究所を持って
いる。
その一例として、三星経済研究所に
ついて説明しよう。
同研究所には、経営戦略室、
技術産業室、人事組織室という部署が
あり、それぞれ、経営戦略、
MOT(技術経営)、人的資源管理に
関する研究を行っている。
研究員総数は約150名、全員が博士号
(アメリカ、日本、欧州、韓国など)
取得者であり、うち70名が経営学の研究に
従事している。
同研究所は、三星グループの
シンクタンクであり、グループ企業の
支援や政府関連業務も行っているが、
研究色が極めて強い。
研究対象国は、欧米先進国のみに限定
されているのではなく、ほぼ世界中を
カバーしている。
新たなマネジメント技法に関する研究
だけにとどまらず、優れた研究者は
だれか、それぞれはどの研究機関に所属
しているか、どのような研究成果を上げて
いるか、どの企業との関係が強いのか、
そして、優れた研究者はどのような
ネットワークを有しているのかなどに
ついての情報も収集している。
企業の競争優位を支えるもっとも重要な
ものは、技術や知識が具現化された製品や
サービスであるが、それだけでは十分
ではない。
優れた技術を活かすマネジメントが重要
であることが、日本企業にはまだ本当には
理解されていない。
韓国企業に学ぶことに躊躇しては
ならない。
優れている点は、あらゆるところから、
できうる方策のすべてを駆使して、学習
する必要がある。
技術では、まだ日本企業が優れている
のだろう。
しかし、市場では、間違いなく後塵を
拝しているのである。
彼らから学ばなければ、韓国企業との
距離はますます拡大していくだろう。
韓国企業は、優れた日本の技術を学ぼう
としている。
それだけでなく、市場競争で劣位に追い
込んだ日本企業からも、優れた
マネジメント手法を学び、日本の経営学の
研究成果をどん欲に吸収することを忘れて
はいない。
現に、同研究所が仲介したマネジメント
に関する共同研究が、韓国人研究者
(大学教員および研究所員)と
日本人研究者の間で進行中である。
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>日本には他国から学ぶことで成長して
>きた脈々とした歴史がある。
>しかし、バブル経済の崩壊後、この学び
>の姿勢が欠落しつつあるように感じる。
同感です。
現実を直視し、謙虚に
>最先端から学ぶこと、繰り返しになるが、
>これこそが競争を続けるための唯一の
>王道である。
世の中は、常に変化している。
その変化に柔軟に対応すること。
力はあるはずです。
頑張ってください。
こういう記事を見ていると寂しく
なります。
「ドコモから今秋発売予定のサムスン
『Galaxy S』が世界市場で既に
予約注文100万台超」
これサムスン製 ← 韓国の企業です。
最終的には1000万台以上の販売を目指して
いるらしい。
サムスン製にしたと言うことは、日本の
メーカーには作れなかったということ。
アップルも、サムスンも後発ではなかった
かな?
こんな記事もあります。
「総額60兆円、動き出す国家IT戦略」
大胆不敵、貪欲の中国
2010/11/08 IT Pro
これこそ、国家戦略です。
政治家さん、
お互いの足の引っ張り合いばかり
してないで、
提案してください。
決めて前に進めてください。
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