消化管の閉塞に新治療 胃・十二指腸ステント 進行がん患者のQOL向上
消化管の閉塞に新治療
胃・十二指腸ステント
進行がん患者のQOL向上
2010.11.04 47News
詳細は、リンクを参照して下さい。
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胃がんや膵臓がんなどが進行すると、
胃の出口から十二指腸にかけての部分に
閉塞を生じることがある。
患者は食事が取れなくなり、消化液が
胃にたまって嘔吐を繰り返す。
QOL(生活の質)は著しく低下する。
その治療のために開発されたのが、筒状
の金網で閉塞部を押し広げる
「胃・十二指腸ステント」。
昨年11月に薬事承認を受け、今年4月
に保険が適用された。
従来の治療法に比べて患者の体の負担は
格段に少なく、今後の普及が見込まれる。
▽食べる楽しみ
「今年春ごろから、食べ物が下りて
いかない感じだった。
治療でおなかが楽になり、少しだけど
楽しく食べられるようになった」。
東邦大医療センター大橋病院 (東京都
目黒区)に入院中の女性(84)は
9月下旬、胃・十二指腸ステントによる
治療を受けた。
大きくなった胆管がんが十二指腸を圧迫
し、閉塞を起こしたためだ。
「高齢で体力も落ちているので、開腹
手術をしたくなかった。
この治療法に出会えて、本当にありがた
かった」と付き添いの家族も話す。
胃の出口「幽門部」でがんが増殖すると、
十二指腸への通り道がふさがれる。
一方、膵臓や胆管、胆のうなど十二指腸
周辺の臓器でがんが増殖すると、十二指腸
を外から締め付けて閉塞を起こす。
特に胃がんと膵臓がんは二大原因で、
推計では年間計約7300人の患者に閉塞
が起きている。
▽嘔吐の苦しみ
同病院消化器内科の前谷容教授は
「通過障害で患者さんは食べられなく
なる。食べなくても胃液は分泌され、胃に
たまっていく。
その量は1日1500~2千cc。
十二指腸の下の方が閉塞して膵液や胆汁
が加わると、計5千ccに達することも
ある。患者さんは一日中吐き続け、脱水
症状に陥る」と解説する。
これまで、鼻から胃に管を差し込み
消化液を排出する「経鼻胃管」や、胃に
開けた穴「胃瘻」に通した管から排出する
方法、あるいは、開腹して胃と小腸を
つなぐバイパス手術が行われてきた。
しかし、鼻に管を入れ続ける経鼻胃管は
苦痛が大きく、胃瘻は進行がんで多く
見られる腹水がたまったケースには使え
ない。また、いずれの方法も閉塞自体は
改善しないため、食事はできないままだ。
バイパス手術は、体力が落ち、残された
時間も短い患者にとって負担が大きすぎる。
▽わずか15分
そこで登場したのが今回のステント。
直径22ミリの筒形をした金網で、
畳むと3・3ミリの細いカテーテルに
収まる。これを内視鏡の挿入部に通し、
閉塞個所まで運ぶ。
金網の外側のカテーテル(外筒)だけ
引き抜くと、金網が本来の太さに戻ろう
として閉塞部を押し広げる仕組みだ。
治療はわずか15~20分で済む。
治療後、食べられるようになるまでの
時間はバイパス手術の8、9日に対し、
ステントは1、2日。
入院期間も28~30日間に対し
15~19日間と大幅に短い。
長期的に見ると、再閉塞が起きたり
ステントがずれたりする可能性もあるが、
多くは再治療できるという。
実は、胃や十二指腸の閉塞に対する
ステント治療は、欧米では10年以上前
から行われていた。
前谷さんは海外からステントを輸入する
などして、これまでに約150例の治療を
手掛けてきた。
「ようやく日本でも保険診療で治療
できるようになった。
食べられるようになると表情が明るく
なる。一人でも多くの患者さんのQOL
改善につながってほしい」と前谷さんは
話している。
(共同通信 赤坂達也)(2010/11/2)
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良かったですね。少し前進しました。
患者にとっては素晴らしいことだと
思います。有難いことです。
でも、
>欧米では10年以上前から行われていた。
いつも言ってますが、日本は本当に遅い。
デバイスラグという問題の一つです。
国会での厚生労働委員会の審議、時々
見ているのですが、この話題、あまり聞いた
ことがない。ほとんど役に立たない専門家が
集まってやっている委員会とかで審議して
いるのでしょう。
10年以上経たないと保険適用にならない
とはもうあきれてものが言えない。
実績は十分存在したはず。
患者さんの身になって欲しい。
どれだけ切実な問題なのか?
>食べられるようになると表情が明るく
>なる。一人でも多くの患者さんのQOL
>改善につながってほしい
そう思います。
関連記事です。
「抗がん剤治療と食事」
食べることができるというのは、
すごく大事なことなのです。
医療費の削減にもなるはず。
もう一つ、ドラッグラグ関連の記事
を紹介しておきます。
参考です。このたぐいはいくつでも
ある。
「認知症治療薬、一つのまま
8年ぶりガイドライン改定」
2010年11月4日 朝日新聞
8年ぶりの改訂なのに未だに治療薬は
ひとつ。
>国内でアルツハイマー型認知症の薬と
>して承認されているのは1999年発売
>の「アリセプト」しかない。海外では
>アリセプトと同様に脳内の神経に情報を
>伝える物質の分解を抑える
>「ガランタミン」と「リバスチグミン」
>脳の神経細胞が壊れるのを防ぐ働きの
>ある「メマンチン」が使われている。
これも10年以上経っても変わって
いない。なんとも不可解。
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