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2010年10月 8日 (金)

「尖閣問題における政府の検察への介入は妥当。 事実を隠すよりも、軸足の定まった政治判断を」

「尖閣問題における政府の検察への
介入は妥当。
事実を隠すよりも、軸足の定まった
政治判断を」
―若狭勝弁護士(元東京地検公安部長)
インタビュー

2010年10月8日 DIAMOND online

詳細は、リンクを参照して下さい。


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 巷間で言われているとおり、政府が
自らの政治的判断を地検に伝え、地検が
それによって釈放を決めたことは、まず
間違いないだろう。

 しかし政府は、これだけ高度な政治判断
が関わる問題について、自らの関与を否定
し、「検察独自の見解」と言い張っている。
 これは非常に残念なことだと思う。

 内閣としてどんな判断をしようと
していたかが、全く見えてこない。

 これでは、日本は「軸足のない国」と
思われ、諸外国ばかりか国民の信用も
失いかねない。
 その意味で、尖閣問題は大きな禍根を
残した。


――ではなぜ、菅首相も仙谷官房長官も
「介入していない」と言い張るの
だろうか?

 私は、政府が検察の捜査に介入する
ことは、法の精神に照らしても不適切な
ことではないと思う。

 案外知られていないが、刑事訴訟法
には、国の重大な利害が関わる場合は、
「内閣の政治判断が司法や検察の判断に
優先される」という精神が盛り込まれて
いる。

 たとえば、証拠物の押収について規定
した第104条では、閣僚や閣僚であった者が
所持している証拠物については、
内閣の同意がなければ押収できないと
されている。

 内閣は、国の重大な利害に関係する場合
以外はその承諾を拒否できないが、逆に
外交などの利害に関係する場合は、拒否
できる。

 また検察庁法第14条では、法相による
検事総長への指揮権発動が認められて
いる。

 つまり、内閣と官邸が責任を持って高度
な政治的判断を行ない、検察にその意向を
伝え、それを受けて検察が最終的判断を
したという流れであれば、何の矛盾もなく
論理的な説明ができたはずだ。

 しかし政府は、検察の捜査に介入した
ことがわかると、国民から批判される
可能性が高いと見て、警戒したのだろう。

 政治家や国民は、とりわけ
「指揮権発動」という言葉にある意味強い
アレルギーを持っている。

 そのため、ひたすら「政治的圧力は
加えていない」と繰り返し、国内にも
諸外国にもちぐはぐな印象を与えて
しまったのではないか。
 船長を逮捕したときに国交相の判断が
加わったのに、釈放するときに政府が
知らん顔では、辻褄が合わない。

 また、そもそも民主党政権は
「政治主導」を掲げている。

 介入してしかるべき重大な外交事件の
判断を検察という官僚に委ねたとすれば、
本末転倒と言える。

 三権分立によって行政から独立してる
裁判所と一緒に仕事をする検察は、
「準司法機関」と位置づけられている。

 その意味では、確かに検察の独立性は
重要だ。

 たとえば、汚職をした議員を取り調べ
ようとする検察に内閣や政党から圧力が
かかることなど、あってはならない。

 しかし、尖閣問題は国際的な重大
事件だ。

 それについて、政府が検察に意見する
ことは、政治介入とは異質なものだと
思う。

 むしろ、検察独自の判断に任せることの
ほうが、問題ではないだろうか。

 尖閣問題でも、一般的な国内問題と国の
利害に関わる国際問題とが、一緒くたに
論じられているきらいがある。

 これらは、きちんと分けて議論
しなければならない。

 尖閣問題は、そもそも議論の土俵自体が
できていない。
 まずは政府が明確な政治判断を持ち、
土俵を設定することによって、初めて
議論を俎上に載せることができる。

 その判断の是非については、先々の
総選挙で国民に信が問われることになる
かもしれないが、少なくとも広く議論を
することは民主的な方法だ。

 今のままでは、重要な議論がすり替え
られ、問題が先送りにされるばかりだ。

 私が公安部長をやっていた時代にも、
シーシェパード問題が起きたが、法務・
検察サイドでは予め念入りに関係機関との
間で警告や逮捕の条件を考えていた。

 尖閣問題についても、官邸、国交省、
法務省、海上保安庁などが協力して
対応策を練るべきだ。

 その際、まとめた対応策を国会や国民に
公表し、それを皆で議論したほうが生産的
だろう。

 政府内で非公開のまま議論が
進められると、また論点がズレてしまう
可能性がある。

 よく「自民党政権だったら、事態は
ここまで悪化しなかったのでは」という
意見も聞かれるが、領土問題に関する
中国側の対応を踏まえれば、どの政権でも
今回の処理についてはそう簡単では
なかったと思う。

 大切なのは、尖閣問題の議論を政争の
具にすることなく、民主党、自民党
といった与野党の垣根を越えた協議会を
作り、横断的に知恵を出し合うことだ。
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全く同感です。

言っていることは、2010年10月 2日に
投稿した

「政治主導」が聞いて呆れる、菅内閣の
尖閣問題に対する無責任姿勢

とほぼ同じことを言っている。

法律の専門家も同様の意見です。

>現在のように「軸足」が定まらない状況
>が続けば、アジアにおける日本の地位は
>相対的に低下していきかねない。

嘆かわしい状態だと言わざるを得ない。

国益に関わる行動に対して政治家が
何もしないとは庶民感情としても
信じがたい。

リーダーが存在しなければ、方向は
定まらない。
国の行く末が見えない。
その行方を定めるのが政治家では
ないのでしょうか?

今回のケースでは法律の改定は必要ない
ようですが、もし、今の法律が邪魔をして
その役目を果たせないのであれば、法律を
改定すれば良い話ではありませんか?

国益に関することに何の躊躇がいるので
しょうか?

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