東北大ら、絶縁体からの熱電発電に成功
東北大ら、絶縁体からの熱電発電に成功
2010/10/01 マイコミジャーナル
詳細は、リンクを参照して下さい。
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金属や半導体に温度差をつけると温度の
勾配に沿って電圧が発生する現象
「ゼーベック効果」を利用した熱電変換
素子がエネルギー源として注目されつつ
ある。
しかし、この現象は導電体中でしか
生じず、ジュール熱や素子内部の伝導電子
を介した熱伝導によるエネルギーロスが
発電効率を下げてしまうほか、コストや
設置可能箇所の制約により、実用化範囲
は限定されていた。
今回、研究チームでは絶縁体である
磁性ガーネット結晶を用いて、温度差
によって電子の磁気的性質「スピン」が
流れる現象「スピンゼーベック効果」が
絶縁体中で生じることを発見。
絶縁体中で生じたスピンの流れを、
絶縁体に金属薄膜を取り付けることで
電気エネルギーに変換できることを
明らかにし、これらの2つの原理を用いる
ことで、従来は不可能だった絶縁体ベース
の熱電変換素子を作ることを可能とした。
具体的な手法としては、絶縁体である
磁性ガーネット薄膜の表面にPt電極薄膜を
付けた素子を作製、絶縁体層に温度差を
つけながらPt電極に発生する電気信号の
精密測定を実施した。
この測定に基づき検出された電圧信号が
絶縁体中のスピンゼーベック効果に由来
することが明らかとなり、絶縁体熱電変換
素子のプロトタイプを作製することに
成功した。
従来の金属や半導体を用いた熱電素子は、
ウィーデマン・フランツ則と呼ばれる物理
法則による制約によって性能の向上には
限界があると考えられてきたが、今回開発
した素子を用いることで、原理的に同則に
よる上限を超えることが可能になるという。
今回の素子では温度差は絶縁体層のみに
ついており、熱の流路と電圧発生の役割を
それぞれ絶縁体とそれに取り付けた金属の
2つに分離することが可能となった。
これにより、同じ物質中の熱と電気の
流れに関するウィーデマン・フランツ則に
よる制限を回避でき、また素子設計の
自由度も向上させることが可能となる。
今回の成果である絶縁体熱電変換素子は、
従来の熱電素子とは異なる物理原理によって
駆動されるものであり、これを用いることで
熱電性能指数改善に関する問題を根本的に
解決する可能性がでてくることとなる。
その結果、熱電素子の設計自由度や
設置可能場所の拡大、および環境に配慮した
電力技術開発への発展が期待される。
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大きな発見なのかもしれません。
今後の発展に期待します。
参考リンク
東北大学プレスリリース
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