Vol. 271 後期高齢者医療制度に見る保険の限界
Vol. 271 後期高齢者医療制度に見る保険の限界
医療制度研究会・済生会宇都宮病院
中澤堅次
2010年8月27日
MRIC by 医療ガバナンス学会
詳細は、リンクを参照して下さい。
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「批判を浴びた後期高齢者医療制度は
再検討が行われ、中間答申が出て問題を
残したまま決着に向かおうとしている。
問題の本質から離れた手直しに過ぎない
改正案が、今後の高齢危機に対応できず、
政府がまた国民の不評を買うという過ちを
繰り返さないように私見を述べる。」
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■ 高齢者が医療費を使うのは人間の宿命
■ 被用者保険と高齢者医療のミスマッチ
■ 被用者保険は国民の健康危機に貢献
しない。
被用者が病気になると、企業は退職を迫り
今まで払っていた保険料は返さない。
病人は退職後、国保から医療費を負担して
もらうが、保険料を払えない人には 10割
自己負担という罰則があり、全財産を使い
果し、認可が厳しい生活保護に入れた人だけ
が医療を受ける。
被用者保険は国民の健康危機に貢献する
ことはなく、下手をすれば、金だけとって
サービスはしない詐欺めいた感じも受ける。
国保もセーフティーネットとしての価値は
少ない。
これがほんとに社会保障といえるのか疑問
が残る。
■ 被用者保険と国民健康保険で異なる
家族の扱い
今回の中間答申案で元に戻った被用者保険
家族の扱いも、少し問題がありそうである。
国保の所帯主は家族の保険料を払わ
なければならないが、被用者保険の家族は
保険料を徴収されることはない。
それでも晩年は国保に加入し医療費給付を
受ける。
不公平だから被用者家族からも取れという
話になるが、いまそんなことをすれば家族も
子供もいなくなる。
金を集めだけを考えた帳尻合わせはもと
もと役に立たない仕組みなのだ。
■ 年金天引きは違法ではないか
■ 病気の人を支える事業は大規模で、
健康者の全員参加が必要である
病気になると人は職を失い同時に収入が
絶たれるから、人の世話にならなければ
生きられない。
元気な人であっても一生の間には立場が
逆転し、人生の最後は人の世話になること
になっている。
高齢が関係する病気は全国民共通で、
全国民が係わるだけに規模も大きい。
家族内でカバーできなければプロに任せる
ことになりその資金が必要になる。
かけた資金の一部は人件費となって国民に
戻るとしても、この事業は全国民が何らかの
形で参加しなければならないくらい大規模な
ものである。
■ 好ましくない企業の社会保障負担
保険を企業に頼ったのは、企業しか保険料
を負担できない時代があったからだと思う。
今はそれが企業被用者の特権のように
なっており、国民皆保険の互助の精神と
マッチしていない。
営利の意識が旺盛で、社会保障にあまり
関心が無い企業に、社会保障の大部分を
頼るのは好ましくない。
保険負担が増加すると、企業は人件費を
抑制し、景気が悪くなるとリストラに走る。
解雇と派遣化が手柄になり、社会保障費
の増額には決まって反対する。
国民の危機を拡大するような企業がいくつ
あっても国は生き残れない。
国が生き残るためには、国民の危機は国民
全員で担うという気概が必要なのだ。
■ 社会保障は消費税を基本に整備する
国民に最低限の生活が保証されれば、
社会保障には用途を限定した消費税が最も
適している。
集金の経路と用途が見えていれば、自分
が納めた税金が高齢者に使われても、将来
の自分を思えば納得が行く。
消費税の難点は、所得が少ない人でも容赦
が無いことだが、例外を作るよりも政府の
責任で最低賃金を保障し、国民全体が参加
できるようにするほうが分りやすい。
租税に例外を作ると多くの人は例外に入り
たいという気持ちになり、最初から原則を
変えてしまうと方向を見失ってしまう。
■ 社会保障費の不足分は累進的な保険や
租税でまかなうべき
消費税負担が国民の能力を超えることも
あろうが、そんなときには国債を発行せず
に、累進性の高い所得税など従来の型の税金
の投入が必要である。
保険制度を残すのなら消費税を基本に、
保険は被用者保険も国保も統合して一本化
し、所得累進的な保険として残すべきで
ある。
健康保険の一本化は民主党の公約だった。
中間答申のような見せかけだけの一本化
は民主党の信用を落とす火種になる。
■ 個人の負担の上に成り立つ消費税と国や
企業の責任
企業は国民を食い物にせず、国民も税金を
私物化せず、政府は働く国民個人の生活が
格差無く向上するように知恵を絞るべきで
ある。
消費税の肩代わりで、企業に保険料の余裕
が仮に生じるのなら、労働時間の短縮と雇用
促進と、労働環境の改善としてこれに応える
べきである。
自己の利益しか考えなくなった企業体質
や国民意識も考え直す時期にある。
消費税議論はまだ土俵にも上がらないが、
西欧諸国には経験があるのだから、保険の
限界を認めた上で、新しい連続の端緒になる
研究と改革を進めることを望む。
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同感です。
私も、「今後の高齢危機に対応できず、
政府がまた国民の不評を買うという過ちを
繰り返さないように」と願っています。
中途半端な改革は止めてもらいたい。
一気にできないにしても、その道筋は
文章として残すべきである。
要するに行程とその実現過程を透明化
すべきであると考えます。
特に、上記文中の
「被用者保険は国民の健康危機に貢献する
ことはなく、下手をすれば、金だけとって
サービスはしない詐欺めいた感じも受ける」
と言う部分は全くその通りと思う。
そして、
「病気の人を支える事業は大規模で、
健康者の全員参加が必要である」
と思う。
熟考願いたい。
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コメント
とても魅力的な記事でした。
また遊びにきます。
ありがとうございます。
投稿: 生命保険の選び方 | 2010年9月 6日 (月) 23時40分
コメントありがとうございます。
私の一方的な興味のみで選択しています。
好みはかなり分かれるかもしれません。
良ければ、いつでも遊びに来てください。
投稿: haredasu | 2010年9月 7日 (火) 11時22分