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2010年9月16日 (木)

「政府の借金は内国債だから問題ない」は本当か?

「政府の借金は内国債だから問題ない」
は本当か?

欠けている「世代交代」の視点
2010年9月16日 日経ビジネスONLINE

Auther 小黒 一正(おぐろ・かずまさ)
 一橋大学経済研究所世代間問題研究
機構准教授。

詳細は、リンクを参照して下さい。

長文なので、結論部分のみ載せました。
重要と思います。
しっかり自分の頭で考えて見てください。

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 このように、公債発行・減税政策は、
内国債であるとき、その発行時と償還時の
どちらにおいても、政府は単なる導管に
すぎない。

 家計間でマネーをやり取りしているのと
同等になる。

 このとき、家計IIはどのように行動する
か? もし家計IIが合理的なら、公債発行
時にもらった5000万円のマネーをすぐに
使わず、償還時の増税に備えて、貯蓄して
おくだろう。

 他方、もし家計IIが合理的でなく、公債
発行時にもらった5000万円のマネーを
すぐに消費してしまい、償還時に5000万円
の増税を受けても、損得ゼロだから
「自業自得」の話だ

-----
世代交代があると議論は変わってくる

 しかし、公債を発行する時点と償還する
時点とでは30年程度のタイムラグがある。
 その間に世代交代があると話が違って
くる。
 いま、公債を発行した時点と償還する
時点の家計は親子関係にあり、償還時の
家計I’は、親である発行時の家計Iの
子どもが成人した時点での家計としよう。

 同様に、家計II’は家計IIの子ども
世代だ。
(図表1で、家計I’のように「’」が付い
ているのは「子世代」、付いてないのは
「親世代」であることを示す)。

 ここで、親子関係にある「家計II」と
「家計II’」に着目してみよう。
 その際、政府の公債発行・減税政策に
より、公債を発行した時点において、親の
「家計II」は5000万円の「得」をした。
 しかし、償還する時点において、子の
「家計II’」は5000万円の増税で「損」を
することになる。

 このとき、もし家計II’の親である家計
IIが利他的で、子どもの家計II’のことを
(可哀想と本当に)考えているなら、公債
が発行された時点にもらった5000万円を
消費せず、遺産や贈与といった形で家計II’
に残すだろう。

 もちろん、残し方は、人的資本としての
子の価値を高める教育投資のような「贈与」
でもかまわない。
 図表1の下段の「?」ようにマネーが流
れる。そうすると、親世代や子世代の消費
は変化せず、このような世代間移転政策は、
経済全体に何も影響を与えない。

 これは世代交代がある場合の「公債の
中立命題」で、いわゆる「バローの中立
命題」と呼ばれるものだ。

 だが、残念ながら、この「バローの中立
命題」が成立するほど、各世代は利他的で
ない。大阪大学のチャールズ・ホリオカ教授
をはじめ、多くの実証分析による結果である。

 また、次回に詳しく紹介するが、いまの
財政・社会保障制度で、60歳以上の世代が
約4000万円程度の「得」をしている一方、
将来世代は約8000万円程度の「損」をして
いる。
 もしバローの中立命題が成立しているなら、
祖父母から孫世代に、遺産や贈与といった
手段で8000万円程度の移転がなされるだろう。
 だが、そのような移転を行うことができる
高齢世帯はきわめて少ない。

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資産の歪みは「公債の中立命題」が成り
立たない一つの証拠

 というのは、高齢世帯には異質性があり、
その資産分布には「ばらつき」、つまり
資産格差があるからだ。

 「平成21年度・家計の金融行動に関する
世論調査」(金融広報中央委員会)による
と、金融資産保有額は、60歳代で平均1677
万円(中央値900万円)、70歳以上で平均
1379万円(中央値600万円)にすぎない。

 金融資産の平均と中央値で770万円程度
の開きがあるのは、高齢世帯の資産分布に
「ばらつき」がある証拠だ(図表2)。

 実際、60歳代で貯蓄がない世帯は19.9%、
70歳以上では21.3%も居る。
 しかも、金融資産の中央値のみでなく
平均も、8000万円を大きく下回るから、
孫世代に8000万円も移転できるほど余裕の
ある高齢世帯はとても少ない。

 このように、もともと、60歳以上の世代
の多くは4000万円程度の「得」をしていて
も、その資産はそれほどない。

 この実態を見れば、公債の中立命題が成立
していないことは明らかであろう。

 このほか、この命題が成立しない理由は
いろいろ考えられるが、理論が想定する
ほど、人間は合理的でなく、孫世代や子世代
がどれくらい損をするかなど、そもそも
分かっていないのかもしれない。

 いずれにせよ、国債発行は世代間格差を
引き起こし、将来世代に過重な負担を押し
付ける。

 したがって、「政府の借金の多くは
内国債だから問題がない」というのは、
間違いである。
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政治家がよく言いますよね。

実は、私はこの話しにすごく違和感を
持っていました。
本当にそうだろうか? と、

やっぱりそうなんだと納得しました。
>「政府の借金の多くは内国債だから
>問題がない」というのは、間違いである。
と、

借金なのです。
返却しなくて良いなどということはない。
国民間でそのことが起こる。
その時、本当に問題が起こらないの
だろうか?
すごく疑問でした。

「公債の中立命題」という前提条件が
あったのですね。

政治家にはきちんと説明して欲しい。

問題ないと言うのなら、
これこれこういうことだから問題は発生
しないと言う、具体的な説明が必要です。

単純に「日本の場合、政府の借金の多くは
国内で賄っている。
国全体で見ると、国民の『「借金』である
と同時に『資産』であるから心配ない」

としか言わない。説明不足です。
国民はなんとなく納得してしまう。

恐ろしい話です。
無責任きわまりないと思う。

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