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2010年8月 3日 (火)

Vol. 250 ワクチン・ギャップを解消できるか?問われる政府・与党の覚悟

Vol. 250 ワクチン・ギャップを解消
できるか?問われる政府・与党の覚悟

2010年7月30日
MRIC by 医療ガバナンス学会

詳細は、リンクを参照して下さい。

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 7月7日の厚生科学審議会感染症分科会
予防接種部会では、国立感染症研究所が
取りまとめた9つのワクチンに係るファクト
シートが提出された。

 当該ファクトシートはワクチンごとに、
対象疾患の基本的知見、予防接種の目的と
導入により期待される効果、ワクチン製剤
の現状と安全性について取りまとめたもので、
予防接種政策を論じる科学的な基本となる
資料といえる。

 当日、参考人として出席した神谷齋国立
病院機構三重病院名誉院長が述べたように、
基礎研究者と臨床家が同一のテーブルで
科学的知見に基づき議論し見解をまとめる
初めての取り組みにより生み出されたもの
であり、「これが初めての取り組みだった
と聞いて衝撃を受けた。
 当然に研究しているものだと思っていた」
と黒岩祐治委員が驚きの言葉を漏らした
ように、より早い段階で取り組まれるべき
事柄でもあった。

 本来取り組まれているべき事柄が長きに
渡り為されていなかったことが20年とも
いわれるワクチン・ギャップの大きな要因
の一つである。

 予防接種部会の命題は「予防接種行政の
抜本的改革」である。
 抜本的改革とは、すなわちワクチン
ギャップ20年の解消であり、ワクチン
後進国からの脱却である。

 このことは、大いなる覚悟を政府・与党
に要請する。

 何事にもいえることであろうが、大いなる
変化を短時間で為し得るのは容易ではなく、
時として改革の途中で易きに流れてしまう
こともある。

 ワクチン・ギャップの歴史も例外ではなく、
課題や困難に正面から向き合わず、易きに
流れ続けた20年であった。

 ワクチン・ギャップを解消できるのか、
歴史を繰り返すのか、今まさに政府・与党
の覚悟が問われる局面を迎えているといえ
よう。

 政策決定はエモーショナルな判断だけで
行われるべきではなく、ワクチンを接種する
ことで生じる被害と防ぐことのできる被害の
双方を科学的に分析することが不可欠である。

 そして、その基礎となる科学的知見が
「ファクトシート」として取りまとめられた
以上、定期接種化しない、という判断は接種
することで防げる被害を防がない、という
判断と同じ意味を持つと私は考えている。

 米国研究製薬工業協会(PhRMA)ワクチン
小委員会の中村景子氏は、現在、任意接種
とされているヒブワクチン、肺炎球菌
ワクチン、HPVワクチン、B型肝炎ワクチン、
水痘ワクチン、ムンプスワクチン、
インフルエンザワクチンを全て定期接種化
し公費負担した場合、必要財源額は
約1,300億円となるとの試算を示している。

 1,300億円で定期接種化が実現できると
いう事実は、多くの医療関係者にとっては
非常にリーズナブルな金額と映るのでは
ないだろうか。

 新型インフルエンザワクチンの輸入に
要した費用とほぼ同額の費用であり、子ども
手当ての予算の1/20(満額支給なら1/40)
に過ぎない。

 また、ワクチンによる疾病予防が実現され
れば、それに伴い医療費や介護費、遺失利益
などの発生を抑制することができ、結果
として「もとが取れる」可能性が高いとも
いわれている。
 さらに、細菌性髄膜炎や潜在性菌血症等
への過度の不安が保護者も医療提供者も
軽減されるため、小児の夜間休日診療の
受診ニーズの低減と医師の負担軽減も期待
され、抗菌薬の投与量も抑制できるなどの
効果も指摘されている。

 これらを勘案すれば、「リーズナブル」と
考えられる1,300億円という金額だが、私は
一抹の不安を感じている。
 今年4月の診療報酬改定は、OECD平均まで
医療費増額を目指すとした民主党政権下で
行われたにもかかわらず、薬価等の引き下げ
分の振り分けを除けば、実質の予算投入は
600億円程度に留まったことは記憶に新しい。

 必要な予算を確保するには胆力が求められ、
そこに様々な「力学」が働くのが政治の世界
なのだろう。
 必要な予算を確保し予防接種で防げる被害
を防ぐのか、予算とともに国民の健康を削り
続けるのか、政府・与党の判断に注目したい。
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>これが初めての取り組みだったと聞いて
>衝撃を受けた。
私も衝撃を受けました。

何年も前に出来ていなければいけないもの
ではないのでしょうか?

お金がないのなら、高速道路の無料化実験
にかける1000億円を、いっそのこと、
こちらにかけたらどうですか?

命も守れるし、医療費の削減に繋がるかも
しれない。

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