アルツハイマーの新薬 服用方法や仕組みの異なる3種類が日本でも来年中に承認される見通し
アルツハイマーの新薬 服用方法や仕組み
の異なる3種類が日本でも来年中に承認
される見通し。
毎日新聞 2010年8月25日 東京朝刊
詳細は、リンクを参照して下さい。
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アルツハイマー型認知症の治療薬は現在、
国内ではアリセプト1種類しか販売されて
いない。
製薬各社は今年に入り、海外で普及して
いる3種類についても製造・販売できるよう
国に申請し、来年にも承認される見通しに
なった。
これまでアリセプトで効果を得られ
なかった患者も多く、治療の選択肢が広がり
そうだ。
「複数の薬があれば、合うか合わないか
試すことができる。
患者や家族の安心感が高まる」。
京都市に本部を置く「認知症の人と家族
の会」高見国生代表理事はそう話す。
同会は申請された3種類の治療薬の早期
承認を求め、厚生労働省に要望書を提出して
いる。
認知症患者は25年には国内で323万人
に達すると推計されている。
専門医によると、このうちほぼ半数を
アルツハイマー型が占めるといわれている。
発症の詳しいメカニズムは解明されて
いないが、何らかの原因で脳内に異常な
たんぱく質(アミロイドβ)が増え、神経
細胞が死滅し、記憶障害などを引き起こす。
また、脳内の記憶をつかさどる神経伝達
物質アセチルコリンの濃度が低くなること
も分かっている。
99年11月から販売されているアリセ
プトは、このアセチルコリンの濃度低下に
着目した薬だ。
シナプス前細胞から放出されたアセチル
コリンを分解する酵素の働きを抑えること
で症状の進行を遅らせ、記憶の急速な衰え
など認知機能障害の改善に効果があると
される。
製造・販売元のエーザイは「アルツハイマ
ー患者131万人の約半数がアリセプトを
服用している。
軽度から重度まで幅広い段階で効果が
認められている」という。
現在、ノバルティスファーマと小野薬品
工業が共同で開発し、申請中の
リバスチグミンと、ヤンセンファーマが
申請中のガランタミンも、基本的には
アリセプトと同じ仕組みで働く。
リバスチグミンの最も大きな特徴は
「張り薬」という点だ。
標準サイズは500円玉大で、1日1回、
胸や背中などに張ると、皮膚から血中に薬の
成分が入り、徐々に効き目を発揮する。
また、ガランタミンはアセチルコリンを
分解する酵素を抑える働きに加え、同じく
記憶にかかわるニコチン受容体に作用して、
アセチルコリンの働きを増強するとともに
生産を促す効果もある。
このため、アリセプトがあまり効かない
という人に有効とされている。
錠剤のほか、液体や水なしで飲めるもの
もある。
また、第一三共が申請中のメマンチンは、
これらとは全く仕組みが異なる。
脳内にはアセチルコリンのほかにも、記憶
にかかわる神経伝達物質としてグルタミン酸
が存在する。
このグルタミン酸が過剰になると神経細胞
に障害を起こして認知機能低下などの症状を
悪化させる。
メマンチンはその働きを抑え、神経細胞を
保護する。
これらの未承認薬はいずれも60~70
カ国・地域以上で販売されている。
リバスチグミンやガランタミンは軽度から
中等度の人に効果があるとされる。
一方、メマンチンは中等度から重度に効果
がみられ、海外ではアリセプトと併用して
使われることもあるという。
ただし、3薬はこの名称で販売される
わけではなく、承認後に正式な製品名が
付けられる。
順天堂大の新井平伊教授は「先進諸外国
では5年前から4剤体制となっている。
承認され国際レベルに追いつくことは
意義が大きい」と話す。
ただし、いずれの治療薬も認知機能低下
などの症状を抑え、病気の進行のスピード
をある程度緩やかにするもので、根本的に
治療できるわけではない。
このため服用を続けても、1年後ぐらい
から症状は再び悪化する傾向にある。
新井教授によると、異常なたんぱく質が
脳内にたまるのを止め、病気の原因を断つ
次世代薬の治験も既に始まっており、
「今後10年程度の間には、根本的な治療薬
が開発される可能性もある」と話している。
【有田浩子】
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良かったですね。
>承認され国際レベルに追いつくことは
>意義が大きい
>今後10年程度の間には、根本的な
>治療薬が開発される可能性もある
順天堂大学での研究はかなり進んでいるよう
なので期待してます。
別件ですが、下記ニュースがあります。
「海外普及薬、保険適用前倒し決定」
「ドラッグ・ラグ」問題の解消へ向けて
少しずつですが前進です。
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