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2010年8月 3日 (火)

多剤大量処方と妻の死のストーリー (その1/2, 2/2)

Vol. 244 多剤大量処方と妻の死の
ストーリー (その1/2)

2010年7月23日
MRIC by 医療ガバナンス学会

Vol. 245 多剤大量処方と妻の死の
ストーリー (その2/2)

2010年7月24日
MRIC by 医療ガバナンス学会

詳細は、リンクを参照して下さい。
長文になってしまいましたが、
見過ごせない問題だと思います。

---------------------------------------
 私の妻は、軽い不眠で心療内科クリニック
の門をたたき、最後は薬物中毒により命を
失いました。

これは、彼女の死の原因を追及し続け、
5年でたどり着いた私の見解です。

 自殺対策で、うつ病の早期発見が叫ばれ
ています。ですが、その受け皿である
精神科、心療内科にそれを受け止めるだけの
能力は果たしてあるのでしょうか?

・初診
 不眠と軽い頭痛で訪れたクリニックで最初
に処方されたのは、ごく一般的な抗不安剤と
睡眠導入剤と鎮痛剤でした。

・4ヶ月後
 通院開始後わずか4カ月で、薬は10種類
18錠になりました。
いわゆる多剤大量処方の始まりです。

不眠の診断に対し、抗うつ剤、抗精神薬、
抗不安剤などの薬が複数処方されました。

・17ヶ月後
 薬はさらに増えました。12種類24錠。
 ここで、私が特に問題視しているバルビツ
 レート酸系睡眠薬が登場します。

・初診から23ヶ月後
 多剤大量処方はそのままで、もう一つの
問題の薬、別のバルビツレート酸系の薬が
登場します。
この薬は、ネット上では『飲む拘束衣』
などと呼ばれ、覚せい剤の離脱症状を抑える
時に使用されます。

・初診から7年と5カ月目
 冬のある朝、彼女は亡くなっていました。
 自宅で亡くなった為、司法解剖に回され
ました。

3ヶ月後に知らされた死因は、薬物中毒
でした。

【原因の追究】

(1)医師の説明
 まず、驚いたのは、彼女に処方されていた
薬の量です。
 こんなに沢山の種類と量を必要とする病気
があるとは、にわかに信じられませんでした。

医師と会えたのは、妻の死後、2週間後
でした。

 私は、医師に疑問をぶつけました。
 何故、こんなに沢山の薬がでている
のかと。

医師は、「これでも、眠れない人は居る。」
とだけ答えました。

納得のできない私は、妻の死に関してどう
考えているのか文章にしてくれと言い、
一旦その場から立ち去りました。

医師は文章にすることに同意しましたが、
その約束はいまだに果たされていません。

(2)ネットによる情報収集
ネットの力は強力でした。
情報の量でいえば、凄まじい量の情報が得ら
れました。
しかし、裏付けのある情報をその膨大な
情報の中から探し出すのは不可能に思え
ました。

(4)裁判を阻む壁
 いざ、裁判を起こそうと思う段階に
なって、単純な疑問がわきあがりました。
何故、同じような裁判は起きていないのか
ということです。

ネット上にはあんなに被害者が溢れている
のに。
 けれど、その理由はすぐに分かりました。

・裁判費用の問題(訴訟そのものではなくて
 殆どは弁護士費用)。
・裁判では、相手が医師(その道のプロ)で
 あるのに対して、原告側に立証責任がある
 こと。
・診断も曖昧だが、副作用も曖昧、その曖昧
 な物をさらに多剤大量処方という悪弊が覆い
 隠していること。
 曖昧な物を証明するのは不可能であること。
・なにより被害者の気力が続かない事。
・最大の壁は、医師に与えられた裁量権
(処方権)の大きさにあること。
・日本人には、裁判に対する漠然とした
  抵抗感があること。

(5)他の医師の意見の収集
 妻への処方内容を見た精神科医は、同じ
精神科医からみても異常な処方であることを
教えてくれました。

 そして解剖医は、年間の薬物中毒死の中
でも、もっとも多剤の部類であったことを
教えてくれました。

 主治医の処方への疑念は確信に変わり
ました。

 実は、この時に意見を頂いた医師は、
私の裁判の協力医ではありません。
 あくまで、匿名での情報提供と言うこと
で意見を頂きました。

 匿名である理由は、裁判に協力すること
が、それぞれの立場を危うくするからという
ことでした。

(6)厚生労働大臣、厚生労働省への陳情
 裁判準備と並行し、他の被害者と共に、
厚生労働省に要望書を提出に行きました。
 内容は、精神医療の多剤大量処方の規制、
EBMのガイドライン作成、減薬のガイド
ラインの作成等です。

 厚生労働省に行き、実際に担当者と話して
驚いたのは、もう既に、この問題をかなり
正確に知っていたということです。
 容疑者に厚生労働省も加わることになり
ました。

 知っていて何もしない監督官庁の責任は
問われるべきだと思いました。

(8)驚くべき東京都監察医務院のデータ
 その証拠を突きつめているうちに、私は、
あるとんでもない論文に出合いました。
 それは、妻を解剖した東京都監察医務院
の監察医の論文です。
 東京都監察医務院へ解剖に回されるのは、
東京都24区内の死因が不明なものです
(明らかな自殺は含まれません)。

 私が驚愕したのは次のデータです。
 平成19年度、薬物の検出された検体が全部
で1,333件、そのうちアルコールが592件、
覚せい剤などの違法薬物が37件、そして
一番多いのが医薬品612件である。

 さらにその内訳をみてさらに驚きました。
 医薬品のほぼすべてが精神科の処方薬で
あることです。

 その中でもダントツに多いのが、フェノ
バルビタール136件、塩酸クロルプロマジン
69件、塩酸プロメタジン88件です。

 これらは、いずれもべゲタミンの成分
です。

 このデータは、絶対に見過ごせません。

 違法薬物の何倍もの死に処方薬が絡んで
いるのです。
 それもほとんどが精神科の処方薬で、
さらにその半数以上がべゲタミンという薬
なのです。
 直接の犯人はべゲタミンであることの
可能性が高まりました。

 いままで、この数字を気にとめた人は誰も
いなかったのでしょうか。

 患者が勝手に乱用したからと言い逃れ
できるような数字ではありません。

 今すぐなんらかの規制すべきではないで
しょうか。特にべゲタミンは酷い。

 今度は、バルビツレート酸系の2つの薬
を調べることにしました。
 すると、この2つの薬はとても古い薬で
あることが分かりました。
 そしてなんと、現在の教育では、教科書
にも載っていないしろものであることが
わかりました。
 現在では、過去に事故が多かったことと、
ベンゾチアゼピン系の比較的安全な代替薬
登場で、それらの薬にとって代わられている
ということです。

 意見を聞いた精神科医の中にも、こんな
薬は無くなった方がよいという意見は多数
あります。無くなっても誰も困らないだろう
という医師も複数いらっしゃいます。

 しかし、現実には、これらの薬がいまだに
多くの精神科医師により処方され、死亡事故
が多数起きているのです。

 薬に罪は無いとの意見もあるが、これだけ
事故を起こしている薬は、何らかの規制を
されてしかるべきでしょう。

 少なくとも、このバルビツレート酸系の薬
が、この世に無かったのなら、妻はかなりの
確率でまだ生きていたと思います。

 こんな薬が残っているのは、薬行政に
置いて何らかのシステムの不備があるという
ことです。

(9)医師の医薬品マニュアルの軽視
 医薬品の医師向け添付情報を眺めていて、
新たな疑問がわきました。

 私の妻のケースでは、併用注意だけで
物凄い数の組み合わせがあります。
 慎重投与などの注意を加えるともう数える
のも嫌になるほど注意事項が発見できます。
 細かく数えて行けば注意違反は、100は
超えます。
 ラボナの医薬品説明には、一番最初に
劇薬と書いてあります。
 依存性薬とも書いてあります。
 いったい何のための表示でしょう。
 なんでこんな簡単なルールが守れないの
だろうという単純な疑問です。

 どうやら一般論として、医師は、医薬品
の医師向け添付情報をあまり重視していない
ようなのです。
 あれは、製薬会社が自身を守るためにある
と思っているふしがあります。
 製薬会社が身を守るためという認識は
正しいと思います。
 ですが、本来の役割は違うはずです。
 医薬品の医師向け添付情報が、尊守されて
いないのであれば、これは重大な問題です。

(10)『取りあえず』から始まる薬物依存
 ここまで来て、私の妻が受けた治療は、
薬の説明書きに従わず、医師の今までの経験
と勘で行われていたことを理解しました。

 ここまでで、随分色んな問題点を発見しま
した。これだけの様々な悪条件が重なり、
妻が亡くなったという事を理解しました。

 けれどまだ、最大の疑問が解決して
いません。

 妻は、いったいなんの病気で、どう診断
され、どんな治療を受けたかということです。

 ここまで来て、妻の本当の病名が私には
分かりました。
 ある精神科の医師が教えてくれた病名
です。

 それは、『処方薬による薬物依存症』
です。

【終わりに】
 これが、私の妻の死にまつわる物語です。
 出来るだけ感情論を排し、事実に沿って
記述したつもりです。
 様々な問題提起をしましたが、今、妻の
死は、それらが複雑に絡み合い悲劇的な結果
を生んだのだと理解しました。

 妻の死の責任は、色々なところにあり
ます。もちろん、私にも、亡くなった妻
自身にもあります。
 被告医師に全て責任をおわせるのは酷だ
とも思っても居ます。
 しかし、被告医師には、一定の責任が
あることを確信しています。
 なぜなら、彼のやったことは、プロの仕事
ではないからです。

 相手医師からの回答にはがっかりしました。
 そこには、いかに私が悪い夫で、亡く
なった妻がしつこい薬依存者であったという
ことのみが延々と記述されています。
 医学的、薬理学的な反論は殆どありません。
 多剤大量処方については、『皆やっている』
禁忌事項については『そういう記述がある
のは認める』です。

 全く議論が噛みあいません。

 多剤大量処方は、多くの場合、それ自体が
ルール違反です。
 ルールを守っていればそもそもできるはず
は無いのです。
 それを許して来たのは、広い医師の処方権
(裁量権)です。

 逆に処方権が認められるべき医療分野は
沢山あると思います。
 けれど、精神科の街角クリニックと
いった、外来患者さんのへの処方権は、
厳しく規制されるべきだと私は思います。
 もちろん、同時に、不幸にもすでに『処方
薬による依存症』に陥っている患者さんの
救済も考えねばならないでしょう。

 そして、皆さんに特に伝えたいのは、
私の妻が、そもそも「軽い不眠」で
クリニックの門をたたいたということです。

 「軽い不眠」から始まり、最後は「薬物
中毒」で亡くなったというその経過です。

 妻の例のように、日本独自の精神科の
多剤大量処方という悪弊が、問題を複雑化、
悪化させているのは疑いようの無い事実です。

 最後に、この精神医療の問題を、他科の
問題と混同されないことを強くお願い申し
上げます。
 そして、少なからず、私の主張を応援して
頂ける精神科の医師もいることを記して
おきたいと思います。
---------------------------------------

少しだけ引用しようと思ったのですが、
殆ど全文に近い引用になってしまいました。

精神医療における多剤大量処方の問題は、
私も知っていました。

じっくり見てください。
多くの問題を含んでいます。

どうしていくべきなのかじっくり考えて
欲しいと思います。
患者も医師も監督官庁も、すべての人に
その改善策を考えて欲しい。

 知っていて何もしない監督官庁の責任は
問われるべきだと私も思います。
 もっとも責任を問われるべきところでは
ないでしょうか?

 監督官庁の名がすたります。

 憤りすら感じます。
 人の命をどう思っているのか?

>こんな薬が残っているのは、薬行政に
>置いて何らかのシステムの不備がある
>ということです。
同感です。

医師の質の低さも改めて感じます。

良い問題提起をしてくれている文だと思い
ます。
客観的に、冷静に、良く纏められています。
熟読して、この問題提起を無駄にしない
ようにしたい。

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コメント

恐ろしいです。このご夫婦はTV番組でも紹介されたでしょうか?
いつだったかは覚えていませんが、全く同じようなご夫婦の話を見た記憶があります。
僕も現在冷房病を発端に、自立神経が悪くあまり眠れません。メラトニンだけ服用していますが、気をつけようと思います。
それにしても医師免許をもつ人間が「皆やっているから」・・そんな理由で沢山の薬を処方するとは間違っています。
腹立たしい!

投稿: H!ro^ ^ | 2010年8月 4日 (水) 12時34分

「この年の夏、日本で精神科の国際学会が開かれた。
抗精神病薬を2剤以上使うのは効果より副作用などのマイナス面が大きく、
世界では1種類のみ使う単剤療法が標準だ。
これに対し、多種類、大量の薬を使うのが一般的な日本の特異さが
クローズアップされた。」 ← 私の09/09/01の投稿から、

これが現実のようです。

少しずつでも変わっていって欲しいし変わらないと、

投稿: haredasu | 2010年8月 4日 (水) 14時11分

musumeは、大学中退をして怒りっぽい、心を開かないなどということから、メンタルクリニックへいきました。
すぐに10錠ほどの薬が処方され、猛烈な不安感に襲われました。それから、理由なく泣きそうになったり叫んだり、・・・病気でそうなっていたと思っていましたが、今考えると薬のせいだったと思います。また、頓服の薬は「いくら飲んでもいい」と言われ、「ソワソワしたら飲みなさい」とも言われていたので、何錠も飲むと脈が少なくなり苦しくなって救急外来を受診し点滴を受けて一命を取り留めました。

最初の医師に2年間通院しましたが、「あんたは、最後には自殺するよ」と、吐き捨てるように言われ、医師をかえました。その時のmusumeの心情をお察しください。
次のクリニックでは優しく親切な医師だと思い10年間通院しましたが、薬はどんどん増えました。

「車道に飛び出す」「首を自分で絞める」「飛び降りようとする」「記憶が定着しない」など思い出すだにいやな状態がつづきました。なんども言いますが、なにかの精神的欠陥があってこうするのだと思い医師に告げると、そのたびに薬は上乗せされ最後には1日に33錠となったのです。
その間に尿閉、イレウスなど、あきらかに薬の副作用でなった病気もあります。これは内科に受診して向精神薬の副作用だと言われました。精神科医はそのことも知らなかったようで、内科医からの指導によってその副作用を止める薬が出されました。
小康状態がつづき「薬を減らしていただけますか?」と、musumeも私もお願いしましたが「それは、素人の考え。玄人の医師からみると、まだ減らせない」と言われました。

2008年の春だったでしょうか? NHKで「抗うつ薬の飲みすぎはいけない」という番組を偶然みて、驚きました。musumeの20代をめちゃめちゃにしたのは、薬だったのだとそのとき気づいたわけです。気づくのが遅すぎました。

しかし、それから1年たってようやく総合病院の精神科を受診して「減薬をしてください」と、申し出、その日から、33錠の薬は22錠になり1年半たった現在は4錠半です。
記憶障害もなくなりひとりでの外出もできます。すでに33歳になったmusumeが不憫です。大切な20代を多剤大量投与によって廃人状態で過ごしたのですから。

投稿: midori | 2010年9月 7日 (火) 12時22分

貴重なコメントありがとうございます。

お察しします。
これからの人生を大切に生きてください。

精神科医のレベルの低さに唖然としています。
憤りすら感じます。

一般人がこのことに気づくのは困難です。
良い医師はいるはずです。どんどん声を上げて欲しい。
正しいあり方を示して欲しいと切に思います。

投稿: haredasu | 2010年9月 7日 (火) 15時14分

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