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2010年8月 9日 (月)

納付率が低下するとなぜか収支が改善する!? 偽装だらけの国民年金の正体

納付率が低下するとなぜか収支が改善する!?
偽装だらけの国民年金の正体

野口悠紀雄 未曾有の経済危機を読む
2010年8月7日 DIAMOND online

詳細は、リンクを参照して下さい。
長文ですみません。重要なことだと思うので、

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 厚生労働省が8月5日に発表したところに
よると、2009年度における国民年金保険料の
納付率は、08年度より2.1ポイント低下して
59.98%となり、ついに6割を割り込んで50%
台に突入した。
 これは、4年連続の低下である。

 年齢別の納付率を見ると、20~24歳は49.0%、
25~29歳は47.1%と、すでに40%台になって
いる。

 このような状況を考慮した場合、国民年金
財政の将来見通しはどうなるのだろうか?

 2009年に公表された「財政検証」において、
国民年金の財政見通しとして、【図表1】の
ような結果が示されている。

 この数字を見る限り、国民年金の財政は、
未納問題にもかかわらず、健全である。
 単年度収支は、2060年代まで黒字が続く。
 現在10兆円程度である積立金は、60年代
には40兆円を超す水準になる。

 つまり、(厚生年金と同じく)国民年金も
「100年安心年金」の名にふさわしい健全な
財政状況を続けることになっているのである。

 では、この計算において、保険料の納付率
は、どのように想定されているのだろうか?

 簡単に言えば、「実際の納付率は60%程度
なのだが、これが80%になるものとして計算
した」ということである。

 しかも、「なぜそのように考えてよいのか」
という説明はまったくない。
 仮に徴収努力がなされている結果、納付率
が改善しつつあるのなら、将来の納付率を
高めに見ることは許されるだろう。

 しかし、現実には、納付率は年を追うごと
に悪化しているのである。
 年金のように長期的安定性が重要である
制度においては、将来見通しを行なうには
慎重な前提が必要だ。
 それがまったく無視されている。

 さらに、納付率60%という想定でさえ、
かなり楽観的であることに注意が必要だ。

 第1に、前回述べたように、若年層ほど
納付率が低いので、納付率は時間の経過と
ともにますます低下し、50%程度にまで低下
する可能性が高い。

 第2に、マクロ経済スライドは、実行され
ない可能性が高い。
 そうであれば、給付は増加する。

 このように、納付率は国民年金の財政見通
しの基本を左右する重大事であるにも
かかわらず、それが将来見通しに反映されて
いない。

 世間一般の常識では、こうした見通しの
ことを、「水増し」とか「粉飾」とか
「偽装」と言う。
 偽装見通しに基づいて保険料を徴収すれば、
ただちに営業停止処分がなされなければ
ならない。
 国の場合にこうした偽装が堂々と認め
られているのは、何とも理解に苦しむこと
である。

 賃金上昇率等、他の基礎率については、
長々とした分析が示されている(ただし、
その結論は、これまで述べてきたように、
受け入れ難いほど非現実的なものだ)。
 それらと並ぶ重要性を持つ納付率について、
何の分析もなしに80%という目標値だけを
採用するというのは、信じられないほど
不誠実な「検証」である。

 07年度末の積立金残高は8兆円程度なので、
常識的に考えれば、10年少々で使い果たして
しまうだろう。
 上に述べたように納付率が今後さらに悪化
する可能性が強いことを考えると、10年も
もたないかもしれない。
 国民年金は、「財政検証」で描かれた
ような頑強な制度なのではなく、風前の灯で
あるように思われる。

 しかし、以上のような「常識」は、「日本
の公的年金」という鏡の国では、いっさい
通用しないのである。
 それについて、以下に見よう。

 まことに不思議なことに、国民年金の収支
状況は納付率が低下するほど改善すると
思われるのである。
 その理由はつぎのとおりだ。

 収入面での保険料収入の減少に見合って、
支出面での基礎年金拠出金(基礎年金勘定へ
繰入)も減少する(なぜなら、拠出金額は、
本来収納すべき保険料収入ではなく、実際に
収納された保険料収入にリンクして決まる
からである)。
 ところが、現在では拠出金額のほうが
保険料収入額より多くなっている。
 したがって、額では、拠出金の減少のほう
が大きいだろう。

 他方で国庫負担や基礎年金交付金(基礎
年金勘定より繰入)は、給付額にリンクして
いるので、納付率の変動の影響は受けない。
 したがって、国民年金勘定の収支は、
納付率が低下するほど改善すると思われる。

 まるで、「鏡の国」に迷い込んだアリス
のような目眩にとらわれる。

 言うまでもないことだが、こうした奇怪
きわまりないことが可能なのは、厚生年金
などの被用者年金が「尻拭い」をしてくれる
からだ。

 ところが、これまで述べてきたように、
厚生年金は2033年頃には積立金が枯渇して
財政破綻すると考えられる。
 そうした事態に陥れば、これまでのように
国民年金の尻拭いをするわけにはゆかない。
 したがって、厚生年金が2033年頃に破綻
してしまえば、国民年金も破綻するので
ある。
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>世間一般の常識では、こうした見通しの
>ことを、「水増し」とか「粉飾」とか
>「偽装」と言う。
>偽装見通しに基づいて保険料を徴収すれば、
>ただちに営業停止処分がなされなければ
>ならない。
>国の場合にこうした偽装が堂々と認め
>られているのは、何とも理解に苦しむこと
>である。

>国民年金は、「財政検証」で描かれた
>ような頑強な制度なのではなく、風前の
>灯であるように思われる。
>しかし、以上のような「常識」は、「日本
>の公的年金」という鏡の国では、いっさい
>通用しないのである。


なんとも恐ろしい話です。
恐ろしいごまかしをどうどうと行って
恥じることがない。

こんな制度を許している政治家は、
なんと心得ているのでしょうか?

実に無責任、無誠実きわまりない人達
としか思えないではありませんか?

何よりも大切な財政再建に対する政策が
はっきりしない。
どういう理屈で成長が見込めるのか?
見通しも、戦略も霧の中。

どうしてこうも鈍感なのでしょう?
官僚もそうです。
良く理解できません。

破綻が確実に迫ってきているのに、
百年安心とか言っている。

いずれ税金でまかなうから良い?
そんなことはない。
雀の涙程度の年金にしかならない
金額です。

各自貯蓄せよと?
経済も良くならないのに、、
成長率は?% 殆ど期待できない。

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