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2010年7月15日 (木)

一票の格差―選挙結果ゆがめた深刻さ

一票の格差―選挙結果ゆがめた深刻さ
2010年07月15日 朝日新聞「社説」より

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 制度の欠陥が、ゆがんだ結果をまた生んだ。
 参院選が今回改めて警告している。
 「一票の格差」が大きすぎる。

 今回の選挙区での最大格差は、神奈川県と
鳥取県の間の5・01倍だった。
 神奈川では69万票を集めた民主党候補が
落選、鳥取では15万票台の自民党候補が
当選した。

 大阪や北海道、東京、埼玉、愛知では
50万票を超えた人が敗れた。

 最少の13万票台で勝てた高知や、20万
票以下で当選した徳島、山梨などとの「一票
の価値の不平等」は歴然だ。

 全選挙区での総得票数と議席数を比べて
みても、深刻さが浮かぶ。

 民主党は2270万票で28議席を得た。
 一方、39議席を獲得した自民党は
約1950万票にすぎなかった。

 民主党は「軽い一票」の都市部での得票が
多く、自民党は人口が少なくて「重い一票」
の1人区で議席を積み上げた。
 票数と議席数の関係のゆがみは一票の格差
の弊害そのものだ。

 選挙区でも比例区でも民主党を下回る票
しか集められなかった自民党は、果たして
本当に勝者と言えるのか。
 そんな疑問すら抱かせる結果である。

 参院は、いつまでこんな欠陥を放置する
のか。2006年の議員定数「4増4減」
は、小手先に終わった。
 各会派でつくる参院改革協議会は、昨年中
に出すはずの結論を先送りし、次回の13年
参院選に間に合わせたいという。

 格差は一刻も早く是正すべきである。
 ただ、「都道府県別の選挙区」を採る
かぎり、人口の差が大きすぎて、十分な
「平等」の実現が困難なことはこれまでの
経験上はっきりしている。
 数字いじりだけでは解決にならない。

 折しも、衆院でも小選挙区での格差が
2倍を超えた昨年の総選挙に対し、各地の
高裁で「違憲状態」「違憲」の判決が相次い
でいる。

 衆参両院の「ねじれ」が再現され、国会が
またぞろ機能不全に陥る懸念も強まっている。

 国会が直面する問題の全体像を踏まえて
総合的な解決を図るべきである。

 衆院のあり方との関係で、参院の選挙制度
を抜本的に見直す必要がある。
 併せて、衆参両院の役割分担も一から再考
しなければならない。

 そうした大掛かりな作業を進めるなかで、
投票価値の平等の問題にも迫っていく知恵が
求められる。

 現状は議員定数削減を唱える声ばかり
大きい。「身を削る」姿勢はともかく、
総合的な観点を忘れていないか。

 国会での格差解消に期待するのは「百年
河清を待つに等しい」。
 最高裁判事の一人がこんな意見を表明して
から、すでに6年が過ぎた。

 政府が有識者による選挙制度審議会を設け、
第三者の視点で具体策を急ぎ練り上げるしか
あるまい。
 次回の参院選はあっという間にやってくる。
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ごもっともです。

そうですね。
必ずしも、民主党の敗北とは言えない
でしょう。

早急に是正すべきと思います。
政治家は、何を優先事項と考えているのか
頭の中を見てみたい。

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コメント

比例区は7~8%民主党の方が多い(勝っていた)のは知っていましたが、選挙区でも民主党が多かったのですね。
いずれにしてももう少し政党の壁を低くして、協力してもらいたいです。
そして政治屋から政治家になってもらいたい。
政党よりももっと人として頑張って頂きたい。
反面、僕たちはもっと自分で政治や国の事を知る努力も必要です。
悪口の言い合いの選挙活動やマスコミ報道だけで判断するのは危険な事であると思いました。
谷垣さんはらは「ばらまき」と言っていましたが、これまでの自民党の公共事業への税金投入もある意味で一部業界(人)への『ばらまき』だったと僕は思っています。公共事業で僕の生活水準は全く上がっていません^^;
国民も今回は子供手当てのつけを子供達に回すのは・・と言っている人をよく見ましたが、長く続いた自民党政権時代からばらまきまくっていますよ。
自分で知ろうとしない事は危ないと思った選挙でした。

投稿: H!ro^^ | 2010年7月15日 (木) 15時20分

正確に評価するのは難しいですね。

朝日新聞の社説には一理あると思います。

連立の模索などということに力を入れるよりも、
どうして案件毎の国民の目線にたった議論をしてくれないのか?
ヤジなど飛ばしていて何が国会議員かと思う。

投稿: haredasu | 2010年7月15日 (木) 16時52分

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