クローズアップ2010:「遺伝資源」利益配分 各論対立「持ち越し」
クローズアップ2010:「遺伝資源」
利益配分 各論対立「持ち越し」
毎日新聞 2010年7月18日 東京朝刊
詳細は、リンクを参照して下さい。
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動植物や微生物といった「遺伝資源」を
原料とする医薬品などの利益は誰のものか
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国連生物多様性条約の作業部会が16日
まで開かれ、遺伝資源の提供国に利益を公平
に配分することを求める国際ルール「名古屋
議定書」の原案が作成された。
アフメッド・ジョグラフ条約事務局長は
「一歩前進。議定書が誕生すれば、環境分野
の歴史に残る」と期待する。
だが、先進国と途上国は、適用範囲など
多くの主要な論点で激しく対立。
成否は10月に名古屋市で開かれる同条約
第10回締約国会議(COP10)に持ち
越され、予断を許さない。
議長国・日本の手腕が問われる。
【モントリオール足立旬子、関東晋慈】
焦点の一つが、生物や遺伝子を解析したり
化学合成した物を指す「派生物」を利益還元
の対象に含めるかどうかだ。
例えば、インフルエンザ治療薬タミフルの
原料「八角」は遺伝資源だが、化学合成した
後のタミフルは派生物となる。
薬草の遺伝情報、ビタミンやアミノ酸も
派生物になるという。
「派生物が入らなければ、議定書は意味
がない」
最終日の16日、ペルー代表が声を荒ら
げた。
これに対し、先進国は際限ない要求を恐れ、
「遺伝資源は生物や種子などに限る」と反発
した。
また、議定書の内容が適用する時期も、
アフリカ諸国は「条約発効前」にさかのぼる
よう主張するが、先進国は「容認できない」
と一蹴(いっしゅう)している。
アンゴラは「植民地時代にポルトガルが
薬草を持ち出した。
議定書ができれば利益を要求できる」と
説明する。
一方で、途上国が権利を主張しすぎると、
健康面など人類共通の課題に不利益になる
懸念も出てきた。
代表例が、新型インフルエンザのウイルス
(検体)提供問題だ。
ワクチンの製造には感染者からの検体採取
が欠かせないが、インドネシアは07年、
新型に変異する鳥インフルエンザのウイルス
を世界保健機関に提供することを拒否した。
「途上国は遺伝資源を提供してきたが、
薬を買うために先進国側に費用を払う。
不公正だ」というのが理由だ。
欧州連合(EU)は今回、緊急時の病原体
の取得に配慮を求める条項を提案したが、
途上国は「緊急時という名目で提供国の主権
が侵される」と反対した。
途上国は一連の交渉を通して、資源を囲い
込み、新たな利益の確保を狙う。
だが、先進国で品種改良された収量の多い
穀物が途上国に渡り、中印のように科学技術
が急成長している国もある。
「遺伝資源の提供国は途上国、利用国は
先進国」という単純な図式は成り立たなく
なっている。
香坂玲・名古屋市立大准教授(環境政策)
は「先進国と途上国の両者がプラスになる
ルールを作らなければならない」と提言する。
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地球温暖化問題と同じ構図のような気が
します。
もめそうです。
戦争が無くならないのと同じで、あまりに
自己中心になりすぎるような気がします。
>インドネシアは07年、新型に変異する
>鳥インフルエンザのウイルスを世界保健
>機関に提供することを拒否した。
知りませんでした。
これが本当に正しい行動なのでしょうか?
全人類の存亡に関わる問題に発展しかねない。
一国の問題ではないと思うのですが、
確かに
>「緊急時という名目で提供国の主権が
>侵される」
と言う面もあるでしょうが、それでも
問題がありすぎると思います。
>「遺伝資源の提供国は途上国、利用国は
>先進国」という単純な図式は成り立たなく
>なっている。
と私も思います。
単純な議論はして欲しくない。
「先進国と途上国の両者がプラスになる
ルールを作らなければならない」とは思い
ますが、難しいでしょうね。
この行方は、見守っていかないと大変な
ことになりそうです。
負けるが勝ちということもあるはず。
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