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2010年7月27日 (火)

このままでいいのか「医学部大量留年」問題

このままでいいのか「医学部大量留年」問題
杉原正子(早稲田大学医療人類学研究所
客員研究員)私の視点(オリジナル)

2010. 7. 27 日経メディカルONLINE

詳細は、リンクを参照して下さい。

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 最近、一部の医学部で卒業留年、つまり、
6年生の3月に卒業できずに再度6年生になる
留年者が増加する傾向にあり、医学生の間に
不安が広がっている。

 医学部の留年を話題にすると、「昔から
あった」「学生が不勉強なのではないか」
などという反応が返ってくることがあるが、
例えば私立A大学医学部の2009年3 月の卒業
予定者129人のうち、実に43人が卒業でき
なかったと言えば、事の重大さを分かって
いただけるのではないだろうか。

 実は、医学部が卒業者数を制限しようと
躍起になる背景には、特に私学の場合、
医師国家試験の「合格率」が一定の条件を
満たさないと、国からの補助金がカット
されるという事実がある。

 大学は留年生を出すことで、「合格率」
が上がるので補助金を守ることができ、
授業料も余分に入るので、経営的には
プラスになる。

 留年、特に卒業留年については、「何度
受けても医師国家試験に受からない卒業生
を最小限にする教育的配慮による」、
あるいは、「能力の低い医師は社会に送り
出せない」などの意見もある。

 もちろん、大学や学生によっては、留年
という処置が適切な場合もあるだろう。
 しかし、大学側が必ずしも医学生自身や
社会のためではなく、補助金を念頭に置いて
学生の評価を決定していることは、卒業判定
保留制度なるものの存在からも明らかである。

 医学部の6年生は事前に卒業が決定しない
と卒業直前の2月の医師国家試験を受験でき
ないが、卒業判定保留制度とは、その学生が
受けるはずだった医師国家試験の終了後に
卒業を認めるという、つまりは医師国家試験
を受けさせないための制度である。

 このような人為的な操作が存在する以上、
文部科学省の当該年度合格率を基準に特別
補助金の有無を決定するのはナンセンスで
ある。同じ「合格率90%」でも、留年者を
40人出して分母を制限した大学と、留年者
が0人の大学とではその意味が全く異なる
からである。

 医学部の大量留年の背景には、複数の要因
が絡み合っており、直ちにすべて改善する
ことは容易ではない。

 しかし、「合格率」の定義を改善したり、
見せかけの「合格率ランキング」の報道を
やめたりすることは、今すぐにでも可能な
はずである。

 この意味で、マスコミ関係者にもぜひ
ご協力をお願いしたい。

 もしも大学別の医師国家試験の成果を問う
のなら、受験者数でなく全卒業予定者数
(留年者等も加える)を分母にした合格率
を公表すべきである。
 同時に、全学年の平均留年率(または
全留年者数)や退学率・放校率も公表する
必要がある。
 卒業予定者の代わりに5年生以下の留年者
等が増やされていないかどうかもチェック
する必要があるからである。
 また、既卒者の合格状況も含めて評価する
ならば、学生が医師になるのに要した平均
年数を求める方法なども有効であろう。

 しかし、医学部の教育の質は、本当は医師
国家試験の合格率だけで評価するべきでは
ないはずである。

 なぜならば、もともと医師の最低限の質を
担保する試験であった医師国家試験は、卒後
臨床研修が義務化された2004年以降は、
臨床医以前に、卒後臨床研修に進むための
資格試験と位置づけられるからである。

 そもそも、日本でこれほど「合格率」が
話題となり、「受けさせないための留年」
という発想が出てくるのも、医師国家試験
が1年に1回しかないからではないだろうか。

「東大合格者 高校別ランキング」と同じ
ようなものである。

 ちなみに、米国医師資格試験(USMLE:The
United States Medical Licensing
Examination)は、コンピュータ入力(CBT:
Computer Based Testing)の方式で、日曜
祝日以外の毎日、つまり年に約300回受験が
可能である。

 日本の自動車運転免許の学科試験を想像
していただけばよいと思うが、資格試験
として実に合理的であり、このような状況
では、「合格率」という概念自体が存在
し得ないことがお分かりいただけると思う。
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驚きました。
今の仕組みでは、筆者のいうこともあり得る
話のように思えます。

合格率と補助金をリンクさせるとは
いかにも、官僚の考えそうなことです。

合格率をあげるとどういう良いことが
あるというのでしょうか?
大学の合格率とは違うのです。

医師の質の担保には繋がりません。
良い医師をどう育てるか?
その為の仕組みはどうあるべきか?
よく考えて貰いたい。


医師の国家試験が何故年に一回なのかも
疑問です。

米国のように、日曜祝日以外の毎日、
つまり年に約300回受験を可能とすべき
ではないでしょうか?

試験をする側の怠慢にすぎないのではない
のでしょうか?

試験を一回/年とする合理的な根拠はなんで
しょうか?

学校と違って一年という区切りはありません。
医師は流動的です。
いつでも良いはずです。

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