がん検診 国が責任を持って実施せよ
がん検診 国が責任を持って実施せよ
2010/7/9 朝日新聞 「私の視点」欄より
東北大学教授 坪野 吉孝
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早期発見・早期治療を通してがん死亡の
減少を図る検診は、がん対策の重要な柱だ。
ところが、対策の大綱を定めた現行のがん
対策基本法には、どこが責任を持って推進
するのか、検診の実施主体を定めた条文が
ないことをご存じだろうか。
基本法に明確な規定がないため、現行の
検診は、健康増進法に基づく厚生労働省の
省令で市町村の努力義務と定められている
にすぎない。
市町村の経費負担も重い。
検診費用の一部は、地方交付税の一般財源
として国から交付されているものの、受診者
が増えれば増えるほど、市町村の財政負担が
重くなるという構図はかわらない。
その結果受診率は臓器によって20~
30%程度にとどまっている。
国の「がん対策推進基本計画」は2011
年度末までに受診率を50%にするという
目標を揚げたが、実現はきわめて困難な状況
だ。仮に実現出来たとしても、欧米の70~
80%という高い受診率には依然として遠く
及ばない。
がんは日本人の死因の1位を占める重大な
健康問題だ。
がん対策の柱である検診の受診率が低迷し、
欧米と比べて大きく立ち遅れた現状は、政府
の責任、国民の生命の損失という二つの点で
見過ごせない。
がん対策基本法は、民主党が野党時代に議員
立法として提案し、06年に成立した。
当初案では、がん検診の普及と受診率の
向上について、国と地方公共団体の責務が
記されていた。
ところが、当時与党の自民・公明案との
すりあわせの過程で、責務の内容が弱め
られた。
「強い社会保障」を掲げる菅政権には、
がん検診に関する条文を改正し、必要な財政
措置を講じて受診率の大幅な向上を目指す
ことを期待したい。
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同感です。情けない状態です。
「どこが責任を持って推進するのか、
検診の実施主体がどこなのか」
そのことを定めていない法律が
機能するはずがない。
「命を大切にする政治」を実現して
貰いたい。
そう言っていたはず。
法津は、出来たらそれで終わりでは
ありません。
その結果を継続監視し、有効に機能して
いるかどうかを判断しなくてはいけない
はずです。
有効に機能していないのであれば、
直ちに見直し、修正すべきではないので
しょうか?
命に関わること、
医療費の低減にも繋がるはず。
是非お願いしたい。
政治の行方を見守りたいと思います。
どうしてこういう命に関わるような政策
についての国際比較がマスコミから
でてこないのでしょうか?
それを知れば国民ももっと政治に関心
を持つようになるのではないでしょうか?
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