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2010年7月15日 (木)

脊髄損傷の患者が歩けるようになる日

脊髄損傷の患者が歩けるようになる日
2010年7月14日 日経ビジネスONLINE

詳細は、リンクを参照して下さい。

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 脊髄損傷や神経疾患が原因で寝たきりに
なった患者が、自らの足で立って歩けるよう
になる――。
 そんな夢のような研究に長年取り組み、
着実に成果を上げている人物が日本にいる。
 慶應義塾大学医学部の岡野栄之教授である。

 岡野教授が目指しているのは、幹細胞の
一種である「iPS細胞」を活用して神経細胞
を再生させることだ。

 神経細胞を再生できれば、事故で脊髄が
損傷して寝たきりになった患者や、パーキン
ソン病やアルツハイマー病など、中枢神経の
特定の神経細胞群が徐々に機能を失っていく
神経変性疾患に苦しむ患者たちを、回復
させることも可能になる。

 今年7月7日、岡野教授らが公表した研究
成果が世界を驚かせた。iPS細胞研究の
第1人者である京都大学の山中伸弥教授と
共同で、脊髄損傷で歩けなくなったマウス
に安全なiPS細胞を選別して移植し、再び
動けるようにする実験に成功したのだ。

 これらの技術をヒトに適用するには、
マウスからサルへと段階を経ながら実績を
積み重ね、安全性を確認する長いプロセス
を経なければならない。
 そのハードルをクリアして初めて、ヒト
への臨床試験に踏み込める。
 つまり、ようやく進むべき道が見えてきた
段階と言っていいだろう。

 2000年には、ラットの損傷した脊髄に
幹細胞を移植し、神経細胞の機能を回復
させることに成功。
 2001年には脊髄を損傷したサルに、ヒト
の胎児から採取して増殖させた神経幹細胞
を移植。
 サルの腕の筋力と自発運動量を回復できる
ことも確認するなど、相次いで大きな成果を
発表してきた。

 2005年頃にはヒトへの臨床試験を目指して
いたが、実現せずに壁に突き当たって
しまった。
 当時は胎児由来のヒト神経幹細胞を用い
ようとしていたが、厚生労働省が策定した
指針により、胎児由来の細胞は「対象外」
とされたのだ。

 岡野教授は、こう当時を振り返る。
 「議論を重ねて先に進んでいかないと再生
医療は産業として育たないのに、あまりに
閉鎖的だと感じた。
 薬害エイズ問題以降、新しいことに前向き
にチャレンジする意識が希薄になって
しまったのかもしれない」。
 その悔しさは想像するに余りある。

 その後、2006年になって京大の山中教授
がiPS細胞の樹立に成功するなどして、
風向きが大きく変わった。
 皮膚などの体細胞からiPS細胞を生成
すれば、胎児に由来しない神経幹細胞に分化
させられるからだ。
 脊髄を損傷したマウスの機能回復は、
新たなスタートとも言える。

 ただ、岡野教授は研究を支える環境面での
課題が少なくないと見る。
 その1つが人材不足だ。

 例えば、DNAシーケンサーと呼ばれる装置
を用いた遺伝子解析の人材が足りないの
だという。遺伝子解析にはバイオインフォ
マティクス(生物情報科学)という学問が
必要とされ、それには応用数学、応用物理学、
統計学、 コンピューターサイエンスなどの
知識が求められる。

 特にバイオ分野は、従来型の医薬や医療
分野とは異なり、複数領域にまたがる知識
や技術が必要とされることも多い。
 岡野教授は、「化学など特定の領域に精通
した人材は多いが、学際的な研究に強い人材
が足りない」と言う。

 全体戦略が欠けている点も問題だという。
 岡野教授は、こう指摘する。

 「日本の科学技術政策は思いつきで決めて
いるように見えることもある。

 部分最適ではなく、全体最適で国家の成長
を考えるには、戦略的に物事を決めていく
シンクタンクのような機関も必要だろう」。

 バイオ分野の研究では、中国や韓国、台湾
といったアジア勢も存在感を増している。
 特に中国は、政府主導で優秀な人材を囲い
込もうとしている。

 その施策の1つが、中国政府は2008年12月
から打ち出した「千人計画」だ。
 先端分野で博士号を取得するなど一定水準
以上のスキルを持つ人材には、政府機関や
企業などの上級職や国家プロジェクトの
責任者のポストを用意し、支援金や税の優遇
措置もある。
 この結果、欧米の研究機関や有名企業で
経験を積んだ優秀な人材の帰国が急増して
いる。

 世界中の大手製薬会社が中国に最先端の
研究所を置き、中国政府もバイオベンチャー
の育成に力を注ぐ。
 先端の研究者から見ても日本の人材不足と
成長戦略の欠如が明らかなのであれば、少し
でも早く手を打つ必要がある。

 「(日本での環境が改善されず)研究が
あまりに進まないようであれば、海外への
進出も視野に入れなければならないかも
しれない」。

 最先端の研究者の言葉は、今後の医療政策
にとって重い意味を持つことになるはずだ。
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そうですね、同感です。

いつになったら、
「脊髄損傷の患者が歩けるようになる」
のでしょうか?

日本には再生医療を成長させようとする
全体戦略が欠けているように思えます。
医療は成長分野だと言っておきながら、
そのことに対する施策は、どういう手を
打っているのでしょうか?

>日本の科学技術政策は思いつきで決めて
>いるように見えることもある。
注目を浴びているある一点のみしか見えて
いないように私にも見えます。

この点ワンマンで進めていける中国は強いと
思います。多数決原理に左右されない。

民主主義の限界です。
もっと政治家が党利党略ではなく、
日本として何をなすべきかを主導できないと
進みません。残念ですが、現状の政治を
見ていると、お互いの足の引っ張りあいとは
情けない限りです。

>最先端の研究者の言葉は、今後の医療政策
>にとって重い意味を持つことになるはずだ。
政治家には、このことをしっかりかみしめて
貰いたい。

参考までに、
上記の文に出てくる、「脊髄損傷で歩けなく
なったマウスに安全なiPS細胞を選別して
移植し、再び動けるようにする実験に成功
したのだ」
という部分については、下記題にて既に
投稿しました。参照してください。

脊髄損傷:安全なiPS細胞移植…
マウスの運動機能回復

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