アメリカ人がトイレに流すモノ
アメリカ人がトイレに流すモノ
2010. 5. 25
日経メディカルブログ:緒方さやかの
「米国NPの診察日記」日経メディカルONLINE
詳細は、リンクを参照して下さい。
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14歳の時、親の転勤について米国に来る
ことになった。
米国に住み始めた当時、母がどこからか
情報を仕入れてきては私に吹き込んでいた。
ある日、母は恐ろしそうに「アメリカ
では、死んだ金魚をトイレに流すんだって」
と言った。
それを聞いたときには、「まさか!」と
思った。
あったとしてもまれなことだろうと。
第一、日本と違ってほとんどの人が庭の
ある家に住んでいるのだ。
お墓を作ってあげる場所は十分にある
ではないか。
それから16年経った今言えるのは、確かに
この国ではいろいろなモノをトイレに流す
ということだ。
渡航後、私は寮生活を経験し、ルーム
メイトとの共同生活も行うなど、米国人
の暮らし方を観察する機会に恵まれた。
ディスポーザーのようなものが備え付け
られた素敵な台所はまれで、寮では食べ残し
や使用済みのコーヒーの粉などを、トイレ
に流す人が多かった。
さて、それからまた何年か後、看護学生
をしているころ、「子供がゴミ箱から拾って
食べたりするのを防ぐために、使わなかった
薬は必ずトイレに流すように患者さんに指導
しなさい」と教わった。
実際、多くの患者さんは、飲み残した薬
などはトイレに流しているようだったし、
モルヒネ系の薬の一部は、悪用されるのを
防ぐため、そのような指示がパッケージに
明記してあることもある。
実際、昨年2月の米国Associate Pressの
報告によると、米国では毎年約11万トンの
薬剤が病院や介護施設によって下水に
流されている。
人間が服用した薬でさえも、薬によっては
尿を通して下水に流れている。
特にホルモン系の薬剤が野生の魚や蛙など
へ及ぼす影響はすでに知られているし、実際
の関連はまだ調査中だが、人体へも影響して
いる可能性が高いという。
高まる懸念に応えてか、地域自治体などに
よって、不要な薬を1カ所に集めて正しく
処理しようとする動きもあるが、まだまだ
少ない。
昨年10月にはアメリカ政府のOffice of
National Drug Control Policyが、悪用
される恐れの高いモルヒネ系などの薬を
除き、「不要な薬をトイレに流さないように」
という画期的なrecommendationを出した。
薬をトイレに流すことによる人体への影響
については、調査で少しずつ明らかになって
いくのだろう。
またこれから先、「薬の廃棄処理」という
分野で、新しいビジネスや法律ができていく
のかもしれない。
一人の医療従事者として、そして、上下
水道を使う一人の市民として、気になる
ところである。
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正直言って驚きです。
アメリカなら、もっと環境に対してしっかり
した政策を持ち、実施しているだろうと
思っていました。
環境アセスメントとか、いろいろ言って
いるし、と
>上下水道を使う一人の市民として、
>気になるところである。
ですね。
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