アブシジン酸、農業利用に光 -植物ホルモンの1種-
アブシジン酸、農業利用に光
-植物ホルモンの1種-
朝日新聞 aサロン 科学面にようこそ
詳細は、リンクを参照して下さい。
---------------------------------------
干ばつや冷害など環境ストレスに対して、
耐性を高める植物ホルモンのアブシジン酸
(ABA)の研究が進み、厳しい条件下でも
農業をするために利用できる可能性が開けて
きた。
米科学誌サイエンスは研究の進展を昨年の
10大ニュースの一つに取り上げており、
その成果には理化学研究所や東京大など
日本の研究グループも貢献していた。
ABAは、環境耐性のほか葉にある気孔
の閉鎖や種子の休眠などを制御する。
これまで、たんぱく質の脱リン酸化酵素
やリン酸化酵素と関係して環境耐性などに
かかわる情報を伝えることがわかって
いたが、細胞内でABAと結び付く受容体
は、何度か「発見」が報告されたものの
間違い続きだった。
昨年5月、独ミュンヘン工科大など複数
の研究チームが、正しい受容体を確認した
と発表し、研究が進む突破口となった。
これを受け、理研植物科学研究センター
の梅澤泰史研究員らのグループは、
たんぱく質の脱リン酸化酵素PP2Cが、
リン酸化酵素SnRK2を働かなくする
実体と確認。
ABAが受容体に作用するとPP2Cの
働きを抑え、SnRK2が活性化して、
乾燥耐性などにかかわるたんぱく質合成の
シグナルを伝達することを明らかにした。
田之倉さんは「構造がわかりシグナル
伝達のしくみがはっきりしたことで、
農作物でABAの作用を制御できる可能性
も出てきた」と話す。
こうした情報伝達系はコケ以上の陸上
植物に存在する。
理研と東大のグループに加わる篠崎和子
東大教授は「植物が乾燥に耐えて陸上進出
したカギの一つ。
ストレスに強い植物をつくる上でも役に
立つ知見だ」と話している。
《筆者の米山正寛から》
今回取り上げたアブシジン酸(ABA)も、
そうした植物ホルモンの一種です。
発見されたのは50年ほど前にさかのぼり
ますが、他の植物ホルモンに比べても研究が
難しかったようで、受容体などの研究は、
なかなか進まなかったのです。
それがようやく進んだのは、記事で紹介
したように昨年のことでした。
年末には、ラミダス猿人の実像解明、
月面での水の発見などと並んで米科学誌
サイエンスの10大ニュースに選ばれて
おり、昨年の植物科学の話題の中では
一押しだったのです。
そのABAも現状では高価なことから、
ジベレリンやオーキシンのように農薬
として用いることが、すぐできるわけ
ではありません。
安価に使える合成ABAを開発するとか、
遺伝子組み換えでシグナル伝達にかかわる
たんぱく質の量を制御調整するとか、今後
さまざまな方面から、利用のための知恵は
絞られていくことでしょう。
基礎研究の大きな成果が、実用化へ
近づいていくのかどうか、引き続き
関心を寄せていきたいと思っています。
---------------------------------------
>米科学誌サイエンスの10大ニュースに
>選ばれており、
ということで、素晴らしい発見だった
ようです。
素晴らしいです。
環境ストレスに強い植物の開発に貢献
できそうですね。
| 固定リンク
「科学関連ニュース」カテゴリの記事
- 世界初、100:1の減速比でも逆駆動可能なギヤを開発―ロボットの関節やEVの変速機などへの展開に期待―(2019.12.04)
- 全ての光を吸収する究極の暗黒シート-世界初!高い光吸収率と耐久性を併せ持つ黒色素材-(2019.09.03)
- バイオプラスチック原料を大量合成する技術を開発 ~環境調和型触媒反応プロセスによる,再生可能資源を活用したバイオ化学品製造技術~(2019.07.24)
- 「亀裂」と「光」で世界最小サイズの絵画の作製に成功 -インクを使わずに超高精細な印刷が可能に-(2019.06.25)
- 福島原発事故によって飛散した放射性微粒子の溶解挙動を解明(2019.05.16)
この記事へのコメントは終了しました。
コメント
素晴らしいですね^^理化学研究所さんは色々な研究をされていますが、今度の事業仕分けの対象ですね(独立行政法人)
心配です。
投稿: H!ro^^ | 2010年2月22日 (月) 17時30分
10大ニュースに選ばれたってすごいことですよね。
国会議員の仕分けをしたい。
依然として変わらないことをしている。
無駄でしょう
国会は、議論をするところで、審議拒否などして
どうする?
賛成できないならできないで、しっかり議論を
尽くすべきと思う。
投稿: haredasu | 2010年2月23日 (火) 17時58分