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2010年2月11日 (木)

腎不全治療の新しい可能性の発見-腎不全をきたす遺伝病、アルポート症候群はBMP阻害分子USAG-1欠損によって軽快し、腎不全に陥らない-

腎不全治療の新しい可能性の発見
-腎不全をきたす遺伝病、アルポート
症候群はBMP阻害分子USAG-1欠損によって
軽快し、腎不全に陥らない-

2010年2月9日 京都大学

詳細は、リンクを参照して下さい。

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 糖尿病や糸球体腎炎などの原因で腎臓の
障害が長く続く状態を「慢性腎臓病」と
総称するが、進行すると末期腎不全になり、
人工透析や腎移植をしなければ生命が維持
できない状態となる。

 慢性腎臓病や人工透析の患者数は世界的
に増加し続けており、日本では成人の8人に
1人が慢性腎臓病であり、国民の400人に
1人が人工透析をうけている。
 しかしながら従来の腎臓病治療薬は
予防的側面が強く、腎不全に陥った腎臓は
治療不可能と考えられてきた。
 今回の研究で私達は、腎臓病の新たな
治療法の可能性を見出した。

 今回、私たちは進行性の糸球体腎炎から
腎不全をきたす遺伝疾患、アルポート症候群
に着目した。アルポート症候群は5000人から
10000人に一人の頻度で発症する遺伝性腎炎
で、幼児期には血尿のみであるが、年齢と
ともに蛋白尿が出現し、20歳前後までに
腎不全に陥る。
 根本的な治療法はなく、腎不全に陥った
場合には、透析や腎移植が必要である。
 その遺伝子異常は糸球体の基底膜の
構成成分である4型コラーゲンのα鎖の変異
であり、基底膜が脆弱であることから、
マトリックスメタロプロテアーゼなどの
酵素による切断をうけやすくなり、
糸球体障害が進行する。

 私達はアルポート症候群のモデルマウス
とUSAG-1ノックアウトマウスを交配し、
USAG-1がない状況下ではアルポート症候群
の糸球体障害が極めて軽微で、慢性腎不全
に陥らないことを見出した。
 さらにそのメカニズムとして、遠位
尿細管の一部が糸球体に接している部分
(図3)を通して糸球体と尿細管の
クロストークがあり、尿細管から分泌
されたUSAG-1がBMP7の作用を抑制する
ことでマトリックスメタロプロテアーゼ
などの分解酵素の発現を増幅し、基底膜
断裂を誘発することで糸球体障害を増悪
することを見出した。
 慢性腎臓病では糸球体障害と尿細管障害
が車の両輪のように並行して悪化すること
で腎機能が低下するが、その詳細な
メカニズムは明らかになって
いなかった。
 本研究により、尿細管から分泌される
因子が糸球体障害を調節する仕組みが
初めて明らかになった。

 この研究成果は、これまで治療法の
なかったアルポート症候群の治療に
新しい可能性を開くのみならず、尿細管と
糸球体のクロストークの可能性を示すこと
によって、腎臓病が進展するメカニズムを
解明した。
 USAG-1を標的とした治療法は広く慢性
腎臓病の治療薬になりうる可能性がある。
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素晴らしいですね。
さらなる進展に期待します。

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コメント

素晴らしい発見ですが日本で関連する新薬が出回るのはおそらく10年くらい先になるでしょう・・・
私はアルポート症候群を減疾患とする慢性腎不全の透析患者ですが、
仮に新薬が出れば移植腎を保つことも可能になるかもしれません。

どちらにしても自分にとっては望み薄ですが後進のためには大きな希望になると思います。

投稿: 通りすがり | 2010年3月 2日 (火) 17時37分

コメントありがとうございます。

そうなんですか?
腎臓透析を受けていらっしゃる。

国民の400人に1人が人工透析をうけている
とは、そんなに多いとは知りませんでした。

仰るとおりですね。
すぐにでも、新薬を期待したいところ
ですが残念です。

後進には大きな希望になると思います。


投稿: haredasu | 2010年3月 3日 (水) 16時50分

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