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2009年12月 2日 (水)

テレ朝スパモニにドタキャンされました

テレ朝スパモニにドタキャンされました
2009. 11. 27
日経メディカル ブログ
:海堂尊の「死因不明でいいんですか?」

詳細は、リンクを参照して下さい。

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 ここから以下は論評です。岩瀬教授を始め
とする法医学会の人たちの主張「法医学分野
はもう少し人員増をしてもらってしかるべき」
には、私も基本的に賛成です。

 だがそれは同時に難しいでしょう。
 なぜなら法医学者は医師の一部がなり
ますが、医療界全体が人員不足で、
法医学者だけ増員することはほぼ不可能
だからです。

 従って法医学教室充実のためにお金を
使っても、「問題を抱えた旧来システム
の拡張」になりかねません。

 世間はもう忘れていますが、大相撲時津風
部屋事件の際にも同じような議論が起こり、
警察関係の予算だけが付きました。

 なぜかこういう事件って夏の終わりから
秋にかけて、つまり予算請求のころに
メディアを席巻するんですよね。
 不思議な偶然もあるものです。


 この文章で私が批判しているのは、岩瀬
教授の主張に対してではありません。

 報道するメディアのあり方です。

 私のところに取材依頼がきた理由は
たまたまその週の「週刊朝日」に寄稿し、
担当者が読んだからです。

 タイトルは「警察は死因究明に医療の助力
を仰げ」。
 以下、一部を引用します。

 死因確定に画像診断を用い、医療従事者
が診断する形で参画すれば捜査担当者と
別系統の死因究明制度が並立し、捜査の
妥当性の監査も可能だ。
 そうすれば捜査担当がいい加減な死因究明
で済ますのを抑止できる。
 そしてAi情報は原則公開、と初期設定
すれば、現在のシステムエラーも解消される。

 だが現在、Aiの情報開示性をダメに
しかねないメディア誘導がされている。
 一部法医学者があたかも自身がAi読影を
行なっているかの如きメディア・アピールを
しているのがそれにあたる。

 法医学者がAiの主体になると、Aiも
捜査情報と主張し情報公開が行われなくなる。

 画像診断は高度な専門性を有し、Ai画像
の適正な診断は専門家でも難しい。
 だから解剖専門の法医学者や病理医が読影
を行なうのは難しい。
 TVや新聞では法医学者が画像診断して
いるかのような姿を無批判に垂れ流す報道
も散見されるが、そうした報道は自らの勉強
不足、取材力のなさを世にアピールしている
ようなものだ。
 つまり死因不明社会のもうひとつの要因
は、死因を社会に伝えるメディアの勉強不足
と、捜査当局に阿る安易な情報公開姿勢にも
起因しているわけだ。

 テレビ朝日スーパーモーニング木曜班は
この記事を読んで私に接触してきて、結局
インタビューはドタキャンされ、司法解剖
の充実を主張する番組になったわけです。
 スーパーモーニングには週刊朝日の
山口正臣編集長が金曜日のコメンテーター
として出演されています。
 記事を責任編集し、私が主張する問題点
を熟知した方がコメンテーターにいながら、
こうした番組作りをしたことが私には理解
できません。

 別の角度から言うと、「法医学教室が
もっときちんと解剖できる体制にすべき」
という主張を社会に提示するには、CT撮像
場面を流すことは不適切です。
 法医学者を増やすことと、Aiを普及させる
ことに関係はありません。
 CT撮像場面がなくても番組意図は明瞭に
伝わるはずですし、むしろその部分がない
方が論理的に主張は明瞭になるからです。


 上記スーパーモーニングでは、岩瀬教授
の印象的な言葉で終わっています。
 「解剖は捜査のためではなく、一人ひとり
の市民のために必要なことで、市民のために
行われているのです」

 理想はその通りだと思います。
 しかし現実の司法解剖はどうでしょうか。

 押尾学事件で一緒にいた女性の不審死に
ついて、女性の死因はいまだに遺族にさえ
伝えられていません。
 これで果たして「市民のために解剖が
行われている」と言えるのでしょうか。
 遺族にすら死因を伝えないシステムは、
果たして「市民のため」と言える
のでしょうか。
 このあたりの問題こそ、きちんと取材して
報道してもらいたいものです。
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同感です。

どうしてAi(エーアイ、Autopsy imaging)
進まないのでしょうか?

もちろん、解剖すらまともに、行われない、
状況は、知っています。
警察の死因究明のずさんさも目につきます。

その状況を改善するのに、何が最善なので
しょうか?

海堂さんが言っているように、
医療界全体が人員不足で、法医学者だけ
増員することはほぼ不可能です。
ならば、Ai導入の方をまず優先すべき
なのではないのでしょうか?
しかも、解剖では、捜査情報として、
情報公開が行われなくなる。というのも
気になります。

「押尾学事件で一緒にいた女性の不審死に
ついて、女性の死因はいまだに遺族にさえ
伝えられていません。」
とのことで、これでは市民のための解剖とは
思えません。

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