事業仕分けと御用学者
事業仕分けと御用学者
2009. 11. 30
日経メディカル ブログ
:本田宏の「勤務医よ、闘え!」
詳細は、リンクを参照してください。
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その教授は、ご自分の発表で、「医師増員、
医療秘書等のコメディカル増員、さらに医療
費増」の必要性を訴えていました。
しかしシンポジウム終了後に私が医師増員
の活動に協力を求めたところ、医療費増は
難しいとあきらめている雰囲気で、「医師を
増やして大丈夫なのか?」と真顔で私に聞く
のです。
「こういう考えの教授が、『医学部学生』
さんの周りや全国の医学部に少なからず
いるんだろうな」と実感した次第です。
なぜこのように医師増員にネガティブな
見方が医師の間に蔓延してしまった
のでしょう。
なぜ大学教授が医師増員に反対するので
しょう。
そのヒントが、「MRIC by 医療ガバナンス
学会」から送られてきました。
2009年11月17日付けで、北海道大学大学院
医学研究科医療システム学分野助教の
中村利仁先生が書かれた論説です。
タイトルは『事業仕分けと御用学者』。
転載歓迎とありますので、まずは
全文をご覧ください。
さて、皆様いかがでしょうか。
この論説の中に、なぜ皆さんの大学の
権威ある教授が医師増員に反対するように
なったのか、その重要なヒントが隠され
ています。
<1>
医師養成という重要な議題にかかるデータ
が厚生労働省の意のままに操作され、不利な
データは無視され、官僚の思いのままに政策
が決定されてきた、という中村先生の考察に、
私も同意します。
さらに、“お上”の報告を多くの大学教授
だけでなく、メディアも権威あるものとして
信じてしまうのが日本なのです。
<2>
私がこの一文を読んで感じたのは、病院の
財政面に鋭く切り込み、日本の病院の集約化
や統合を進め、医療側からは場合によって
目の敵にされてきた長氏さえ、地域医療崩壊
の背景に医師不足問題、そして医師養成の
遅れがあったと認識しているということです。
おそらく長氏は全国の現場をつぶさに見て、
その構図に気付かれたのでしょう。
私は以前、「医師の需給検討会」の答申が
出た当時、それぞれ別な会合でしたが、
長谷川氏や矢崎氏と医師不足について討論を
したことがあります。
当時は両人とも強硬に「医師は偏在が問題
で将来は過剰になる」という主張を繰り
返されていました。
当時から医師不足による医療崩壊を
どうにか阻止しなければ、と考えていた私は、
正直なところ、このように権威ある方々が、
まるで「御用学者」のように見えたものです。
しかし、今回の中村先生の論説を見ると、
「御用学者」だけを責めるのは酷だと考えた
方がよさそうです。
さて、今回の論説が明らかにしている
ように、医師過剰や偏在論の発信元は
“お上”です。
若い医学生の方々は、できれば医療を
受ける患者さんの視点で、日本の医療制度
の問題点を勉強し直していただけないで
しょうか?
そうしないと、皆さんが医師として活躍
するころは、立ち去り型サボタージュが問題
になっている現在よりも、さらに状況が悪化
する危険性が高いのです。
私はこれからも、医師だけでなく、医療
提供を受ける患者さんの視点から、
医療費増、コメディカル増、医師増(病院
勤務医のポスト増も含めて)を訴えて
いきたいと思っています。
それが医師の待遇改善の必要最低条件
だと信じています。
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以下の意見に同意します。
>医師過剰や偏在論の発信元は“お上”です。
>若い医学生の方々は、できれば医療を
>受ける患者さんの視点で、日本の医療制度
>の問題点を勉強し直していただけないでしょうか?
>そうしないと、皆さんが医師として活躍する
>ころは、立ち去り型サボタージュが問題に
>なっている現在よりも、さらに状況が悪化
>する危険性が高いのです
現場の状況を見てください。
このまま行くと、さらに状況は悪化すると
思います。
患者の立場から言えば既に、医療は崩壊して
います。
お産のできる病院は、どんどん減少しています。
救急は、破綻状態です。
僻地での医療は、ほとんど成り立たない。
解決策を自分の頭で、考えてみてください。
お上の言う通りなのか、そうでないのか?
偏在もあるでしょう、では、その偏在を
どうやって修正しますか?
やり方は? 強制しますか?
できますか?
このまま行くと、患者も医師も共倒れに
なりそうな気がします。
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