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2009年12月15日 (火)

たんぱく質合成のオン・オフスイッチを開発

たんぱく質合成のオン・オフスイッチを開発
(ヒトの細胞内で標的となるたんぱく質の
生産を自在に制御
~未来型の細胞機能制御テクノロジーの
確立に向けて)

平成21年12月14日
京都大学
科学技術振興機構(JST)

詳細は、リンクを参照して下さい。

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 JST目的基礎研究事業の一環として、
京都大学 大学院生命科学研究科の
井上 丹 教授、齊藤 博英 助教らは、特定
の性質をもった細胞内において、標的遺伝子
の発現を自在に制御できる「人工翻訳制御
システム」を開発しました。

 近年、ヒトをはじめとするさまざまな
生物種で、mRNAの情報をたんぱく質に
変換する段階、すなわち翻訳レベルでの
遺伝子発現の制御が、がん化の抑制や神経
の形成、細胞分化のコントロールなどに
重要な役割を果たすことが明らかに
なってきました。

 そのため、翻訳レベルでの制御を人為的
に行い、病気を治療することを目指す研究
が世界中で進められています。

 これまでにも、RNAi注1)や抗生物質
などの低分子を利用する翻訳制御システムが
考案されていますが、標的以外の細胞にも
働いてしまうことや細胞毒性注2)などの
問題があり、そのような弊害のない新しい
翻訳制御システムの開発が望まれていました。

 本研究グループは今回、上記問題を克服
できる翻訳制御システムとして、特定の
たんぱく質の発現量に応じて、標的とする
他の遺伝子の翻訳をオン・オフ制御できる
「人工RNPスイッチ」注3)の開発に
世界で初めて成功しました。

 このシステムでは、L7Aeたんぱく質と、
それに結合するRNAモチーフを利用した
方法で、標的となる遺伝子の翻訳を抑制
(オフ)または活性化(オン)させて
います。

 高精度の制御が可能であり、2つの異なる
ターゲット遺伝子の一方を抑制し、他方を
活性化させることもできます。

 また、L7Aeを「分子タグ」として
利用し、細胞内の特定のたんぱく質と
L7Aeとを融合させれば、標的たんぱく質
の発現を、融合たんぱく質の発現に応じて
自在に制御することも可能です。

 なお、今回開発した「オフスイッチ」は
ヒト細胞内においても、RNAiに匹敵する
高い翻訳抑制効果を発揮し、かつ特定の
細胞でのみ機能することを見出しています。

 さらに、細胞内で作られる特定の
たんぱく質の発現量に応答して、
標的たんぱく質の生産量を定量的に調節
できるシステムを開発しました。

 今回の成果は、標的とする細胞に対して
特異的に遺伝子の発現制御を行える技術を
提供するものであり、がん細胞のみの
死滅化を図る副作用の少ない
がん治療法や、がん細胞でのみ作られる
マーカーたんぱく質の発現を検知するがん
診断法、さらには、定量的なたんぱく質
生産レベルの調節が可能であることを
利用した、ES細胞やiPS細胞などの
細胞分化のコントロールへの応用が期待
できます。

 本研究成果は、2009年12月13日
(英国時間)に英国科学雑誌
「Nature Chemical
Biology」のオンライン速報版で
公開されます。
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素晴らしい成果ですね。

遺伝子異常によっておきてくる病気
(ガンもそうです)の治療法として
注目されてきた技術として有名なのが
注1) RNAiがあります。
発見者は、ノーベル生理学・医学賞を
受賞しました。

なぜ、注目されたのか?
異常を起こす遺伝子が発見されたとき
その遺伝子の発現をオフできたら、
治療に使える可能性が出てくるから
です。

でも、RNAiにも、標的以外の細胞にも
働いてしまうことや細胞毒性注2)などの
問題があったのですね。

今回の開発は、特定の性質をもった細胞内
において、と言う条件はつくようですが、
そのような弊害のない新しい翻訳制御
システムの開発に成功したということです。
「人工RNPスイッチ」注3)という
ものです。

これで、いままでより精度の高い
たんぱく質合成のオン・オフスイッチ
ができるようになったということで、

新しいがん治療法やがん化制御法の
基盤技術になる可能性、さらには、
細胞内の情報ネットワークを自在に操る
未来型の細胞機能制御テクノロジーの
確立に役立ち、分野全体の研究活性化に
つながるものと期待されます。
とのことです。

大いに期待しています。
(遺伝子異常がからんだ難病の治療法にも
貢献できると思われます?)


研究元の京都大学からも、情報が出て
います。ご参考まで、
こちらの方が詳しいかも?

たんぱく質合成のオン・オフスイッチを開発
(ヒトの細胞内で標的となるたんぱく質の
生産を自在に制御
~未来型の細胞機能制御テクノロジーの
確立に向けて)

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