「脊髄小脳変性症の遺伝子治療」その5
東京医科歯科大学のプレスリリースに新しい
発見内容が発表されていましたので、
お知らせしておきます。
大きな発見だと思われます。
疾患名としては、脊髄小脳失調症31型(SCA31)
となるようです。
リンクは、
「脊髄小脳変性症の原因を発見」
― 神経難病の遺伝子診断、治療法開発
への道を開く ―
東京医科歯科大学
です。
詳細は、リンクを参照してください。
---------------------------------------
我々は遺伝性のうち、遺伝子異常が親から子、
孫へと遺伝する「常染色体優性遺伝型」の
脊髄小脳変性症のうち、原因が不明であった
タイプの大部分を占めると言われる、
「第16番染色体長腕連鎖型脊髄小脳変性症」の
原因を今回同定しました。
我々はこの疾患の原因が、第16番染色体上の
大きな領域のどこかに存在することを
突き止めていましたが、今回その領域について、
完全塩基解読とサザンハイブリダイゼーション法
という遺伝子探索を行い、 (TGGAA)n
「チミン・グアニン・グアニン・アデニン・アデニン」
という5塩基の繰り返し配列などが2500~3800
塩基対に渡って「挿入」されているという、
人類史上全く新しい遺伝子変異を見出しました。
---------------------------------------
ということです。
>「常染色体優性遺伝型」の脊髄小脳変性症のうち、
>原因が不明であったタイプの大部分を占めると
>言われる、「第16番染色体長腕連鎖型
>脊髄小脳変性症」の原因を今回同定しました。
ということですので、これで殆どの
遺伝性SCDの遺伝子異常が特定できたと
考えられます。
よって、殆どの遺伝性SCDの遺伝子診断
が可能となり、新規治療への道が開ける
ものと思います。
大いに期待したい所です。
発見内容は、
>5塩基の繰り返し配列などが
>2500~3800塩基対に渡って「挿入」されている
というものです。
参考までに今まで知られていたことは、
以下のような内容です。
-------------------
1.フリ-ドライヒ病は第9染色体長腕9q13-q21
(Chamberlainら,1988)に、
2.マシャド・ジョセフ病は第14染色体長腕
14q24.3-q32(Takiyamaら,1993)に、
3.SCA1は6染色体短腕の6p22-p23
(Jacksonら,1977)に、
4.SCA2は第12染色体長腕の12q23-q24.1
(Asuburgerら,1990)に、
また歯状核赤核淡蒼球ルイ体萎縮症は
12p13.31にあると報告されてます。
常染色体性優性遺伝のものでこれまで
明らかになったものは,病因遺伝子内の
蛋白質への翻訳領域に存在するCAGリピートの
異常伸長によると考えられています.
CAGリピートはグルタミンをコードしていると
考えられていますので,伸長した
ポリグルタミンを有するタンパクが
神経細胞に対して何らかの障害を及ぼす
のではないかと推定されています。
-------------------
| 固定リンク
「脊髄小脳変性症関連ニュース」カテゴリの記事
- 脊髄小脳変性症36型の病態を細胞レベルで改善する アンチセンスオリゴヌクレオチドの同定(2017.07.12)
- 平成29年度 通常総会と春季医療講演会・相談会(2017.07.08)
- (医学系研究科) 新規治療法につながる脊髄小脳失調症1型(SCA1)の運動失調メカニズムの解明 ― 既承認薬バクロフェンがSCA1モデルマウスの運動機能を改善 ―(2017.04.29)
- 多系統萎縮症の睡眠関連呼吸障害は約3割の症例で自然に軽減する(2017.04.10)
- 神経難病の病態解明と治療法開発へ向けた大きな一歩-神経変性疾患の病態を再現する霊長類モデル動物の作出に成功-(2017.03.29)
この記事へのコメントは終了しました。
コメント