2010年度予算の事業仕分けをただの政治ショーで終わらせず、科学振興の重要性を訴える機会に
2010年度予算の事業仕分けをただの政治ショー
で終わらせず、科学振興の重要性を訴える機会に
(2009/11/16 RANKING MAIL 第1358号)
詳細は、リンクを参照してください。
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ペタコンとSpring8の予算縮減で、標的
たんぱく質の構造解析とコンピュータによる
ドラッグデザインによって、わが国が新薬開発力
を国際的な最先端まで高める戦略が危機を迎えて
います。
問題はいくつもありますが、この一連の流れを
文科省の担当者が統合的に説明できなかったこと。
また、関連する専門家も放射光とペタコンを
別々に議論する縦割りにはまっていたことです。
もうひとつは、蓮舫議員が「何故、世界1で
なければ駄目なのか?」という質問をした
ことも、慚愧に耐えない。
科学の本質である、Winners's Take allと
知的資本主義の先出願や先発明という根本を
理解していない発言だからです。
資源のないわが国こそ科学を振興して
未来を先取りする知財を確保して、国際競争
に臨まなくてはならない。
国富は科学にかかっているのです。
科学は教養のためだけではありません。
実際の企業競争や貿易収支を支配しています。
ここを理解できず、事業仕分けをしては、
わが国を傾かせます。
この一点だけは是非とも、勉強して
いただきたい。
若干救いなのは、蓮舫さんも含め民主党
の議員が何度も説明していますが、今回は
科学プロジェクトのよしあしを判断する
機会ではなく、制度のあり方を問う機会
であるということです。
仕分け人と財務省が指摘する問題は、
1)重複プログラムはないか?、
2)国が自らやるべきことなのか?、
3)事業遂行のために、財団などに委託して
いないか?また、その財団には天下りが
いるか?、
4)そのプログラムの成果を国民に
分かりやすく説明できるか--などです。
今回はこうした新政権の問題意識に沿った
答えが必要で、世界最速のコンピュータは
科学的な意義があるとばかり突っぱねても、
仕分け人には理解されないということです。
Sprin8とペタコンがHIVの新薬や糖尿病の
新薬開発の鍵を握っており、国際競争の
焦点であることを分かりやすく伝える
べきでした。
新政権の意図を弁明側の官僚も科学者も
理解していなかったことがまことに残念です。
仕分け人の「これだけ投資して、いくらの
収入になる」という下品な質問も
さばかなくてはなりません。
科学の成果を金で測るのか?
科学の成果を国民にどう示すのか?
新政権が目指す、効率的で計量的なチェック
が可能な行政システムの中に、科学振興を
どう埋め込むのか?
文科省だけではなく、総合科学技術会議、
大学、そして学会は総力を挙げて知恵を
絞らなくてはなりません。
高踏的な態度はもはや許されないと
いうことが事業仕分けの最大のメッセージ
ではないでしょうか。
いずれにせよ、子育てより、科学振興は
国民に理解していただくには、時間も
手間もかかります。
これを認識して、本気で皆さんが新政権に
科学振興の重要性を訴えていかなくては
ならないことは確実です。
今回の事業仕分けに対しても、ぶうぶう
文句を言うべきです。
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明快ですね。
私の言いたいことの全てがあります。
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コメント
宮田満さんのブログは初めて目にしました。有り難う御座います。
以前の内容も読んでみようと思います。
投稿: H!ro^^ヒロ | 2009年11月18日 (水) 17時26分
科学研究とか、教育とかいう分野は、短期間の成果では測れません。
そういう分野まで、「この1年間の成果は?」なんて質問している「仕分け人」を見ると、「こういう人たちが企業経営をしてきたから、日本の経済はだめになったんだな」と、妙に納得してしまいました。
投稿: ゆうくんパパ | 2009年11月18日 (水) 22時17分
H!ro^^ヒロさん
読んで見てください。
医療に詳しい人のようです。なかなか卓見です。
ゆうくんパパさん
コメントありがとうございます。
そうですね。そういう一面もあるでしょうね。
あと、システムの問題かもしれませんが、日本の経営者は、
決断が遅い。リスクを恐れすぎです。
だから、出遅れて台湾にも、韓国にも、負けてしまう。
失敗に非寛容な社会なので、寛容な社会にしていかないと
いけないと思います。
投稿: haredasu | 2009年11月19日 (木) 13時54分