「ニットの上から血圧測定」は高めに出る
「ニットの上から血圧測定」は高めに出る
2009. 10. 5 日経メディカルオンライン
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すぐに血圧を測りたいのに患者の服は長袖――。
そんなとき、袖の上からカフを巻いて測定する
ケースは、日常診療にありがちだ。
では、どのくらいの厚さの服までなら、
正確な血圧が測れるのか。
高知大学医学部検査部の山崎文靖氏は、
患者が身につける衣服の種類や厚みが
血圧測定値に及ぼす影響について、
10月1日から3日に滋賀県大津市で開催された
第32回日本高血圧学会総会で発表した。
山崎氏らが対象としたのは、健常ボランティア
31人(男性20人、女性11人、平均38±8歳)。
ゆったりした安静臥位で両上腕にカフを
着けて同時に圧をかけ、約3mmHg/秒で減圧、
上腕動脈音は膜型聴診器と小型マイクで
記録した。
右腕に着けたカフの内側には、以下の厚みの
布を巻き込んで測定し、左腕の測定値を
コントロール値として、布(衣服)の影響をみた。
血圧の左右差は、布を巻き込まずに測定した値
で補正した。
0.2mm厚のシャツ
1mm厚のトレーナー
2mm厚のニット+0.2mm厚のシャツ(ニット薄)
4mm厚のニット+0.2mm厚のシャツ(ニット中)
7mm厚のニット0.2mm厚のシャツ(ニット厚)
なお、ニットは地肌に直接身につけるケースが
少ないことから、シャツと組み合わせた。
膜型聴診器を皮膚に密着させて測定した場合、
左右の測定値の差(mmHg)は上記5パターンの順に、
収縮期血圧で0.9±3.2、0.2±2.9、0.8±3.0、
3.4±3.8、4.9±2.7で、ニット中とニット厚は
コントロール値に対して有意に高い血圧値となった。
膜型聴診器を布の上から当てた場合は、
ニット薄とニット厚で有意差が出た。
ニット中で有意差がなかったのは
「布の厚みでコロトコフ音が聞き取りにくかった
影響が出た可能性がある」と山崎氏は分析する。
拡張期血圧については、膜型聴診器の位置に
かかわらず、ニット薄、ニット中、ニット厚で
有意差があった。
以上のように、上腕でカフを用いた
血圧測定を行う場合、ニット生地以上の
厚みの服の上からでは、有意に測定値が
高く出ることが分かった。
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サンプル数が少ないですが、
有意に測定値が高く出るそうです。
ご参考まで、
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