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2009年9月 8日 (火)

地域の連携で医療崩壊を防ぐ

地域の連携で医療崩壊を防ぐ
-安心で持続可能な医療制度の構築に向けて-

国内有識者インタビュー 2009年9月号

2009年9月 執筆・編集:株式会社NTTデータ、
株式会社NTTデータ経営研究所

参考情報です。
詳細は、リンクを参照してください。

為になると思います。

どういう方向にして行きたいのか?
考える参考になるでしょう。

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日本の先をゆくニュージーランド

 医療崩壊が叫ばれる日本ではありますが、
その日本の「将来の医療のあるべき姿」が
ニュージーランドにあるのではないかと
私は注目しており、昨年、視察にも行って
まいりました。

 ニュージーランドの人口は日本の人口の
30分の1程ですが、先進国の中では構造改革に
成功している国として知られており、実は
この国も日本と同じように、かつて医療崩壊の
危機に立たされていました。
 彼らが今の日本の同じような状態にあった
10年前から、現在の状態にまで至った経緯を
知ることは、今後の日本の医療制度への
大きなヒントになります。

 まさに、小泉内閣の時代の民間主導の
構造改革を一歩進めた、次世代の医療のあり方
というのがニュージーランドにあると考えます。


プライマリケアによって効率的な医療を提供

 ニュージーランドでは、国を21の地域に分割し、
それぞれの地域内で連携した医療体制を
敷いています。
 また、それぞれの地域を担当するDHB
(District Health Board:地区保健委員会)
という組織が設けられており、その地域の
医療経営という広い視点から、コストと質の
バランスを考慮しつつ医療をうまく
マネジメントする体制が整えられています。

 そういった医療体制の中でも、大きな特徴の
一つが「かかりつけ医制度」による
プライマリケア(※注1)です。
 この制度では、ニュージーランドの全ての国民は、
自分のかかりつけ医を決め、登録することに
なっており、かかりつけ医は、内科、外科関係なく、
全ての症状を診察することになっています。
 そしてニュージーランドでは原則として自分の
かかりつけ医の紹介状が無ければ、専門的な
医療を行う公立病院での診療を受けることが
できません。
 簡易な病気、または生活習慣病のように
継続的な治療が必要な病気はかかりつけ医が
対応し、緊急を要する、あるいは重大な病気の
場合には専門的で高度な医療を提供するという
2段階の対応によって、効率的な医療提供を
行っているのです。
 かかりつけ医は基本的に自宅から近く、
在宅治療が行える範囲にありますので、
現に入院期間を見てみれば、自由に病院を
選択できる日本での平均入院期間が約19日で
あるのに対し、ニュージーランドでは5日と
極端に短くなっています。
 入院期間が短ければ、それだけ医療費も
少なく済むということです。

※注1:プライマリケア:生活習慣病などの
個々の患者の抱える健康、疾病に対する問題に
包括的に対処するための地域医療の仕組み
予防医療を促進する制度設計

 日本では生活習慣病の類の病気に対して
多額の医療費を投入していると説明しましたが、
ニュージーランドでも同様の状況があります。
 つまり、医療費を減らすためには、
病気になった後ではなく、病気を未然に防ぐ
べく日々の健康管理を促すための
「予防医療」に力を入れる必要があります。

 ニュージーランドのかかりつけ医の収入は、
自身の登録患者数に応じて固定的に支払われる
フィーが7割を占めています。
 つまり、ある程度の登録患者数さえあれば、
患者が来なければ来ないほど診療時間や
コストが少なくて済みますので、儲かる
仕組みとなっています。
 よって、ニュージーランドのかかりつけ
医制度では、医者の側に、予防医療を中心
とした医療費削減に対するインセンティブが
働く制度設計になっているのです。

 加えて、最近では、今までの「地域で国民の
医療をサポートしていこう」という方向から、
「国民が自分自身の健康を自発的に管理していく
仕組みを構築していこう」という、さらなる
段階にシフトしていく動きがあります。
 ニュージーランドでは医療情報の電子化が
進んでいるということもあり、これらのデータを
患者自身がうまく活用できるよう、いわゆる
PHR(※注2)的な仕組みを構築していこう
というものです。
 しかし、実際に国民が積極的に関与する
仕組みを作れるかどうかは不透明な部分もあり、
今後も試行錯誤を続けていくことでしょう。
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