「石油」を生む藻類 人類を救うか
科学面にようこそ
「石油」を生む藻類 人類を救うか [09/07/07]
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湖や沼にすむ小さな藻類の中には、光合成で二酸化炭素(CO2)を
とりこみ、「石油」を作り出す種類がある。
これを大量に培養して、燃料油を生み出そうという研究が
進められている。
地球温暖化対策になると期待され、さらには日本のエネルギー
自給率の向上にもつながる可能性も秘めている。
◇沖縄産が有望株
陸上の植物に比べ、水中の微細藻類は油の生産量が格段に多い。
ニュージーランド・マッセイ大などの試算では、
1ヘクタールあたりの油生産量はアブラヤシの年6トンに対し、
微細藻類は47~140トンにのぼる。
筑波大チームは06年、有機溶媒をつかって藻類から
油を回収する装置を開発。
乾燥重量2グラムのボトリオコッカスから、
その重量の35%にあたる0・7グラムの油がとれた。
同じボトリオコッカスでも、油の生産量は乾燥重量の
25~75%と差がある。
ただ、油を多くつくる株ほど、増殖のスピードは逆に
遅い傾向がある。
研究チームは、日本やタイ、フランスで144株を集めて
それぞれの性質を調べた。
乾燥重量の約45%の油を作り、かつ増殖しやすい沖縄県産の
株が有望だと分かった。
工業化した場合の採算も探った。
火力発電所から出るCO2を使い、深さ30センチ、
約20ヘクタールのプールで藻類を育てる条件。
国内では赤字だが、人件費の安い東南アジアでは
2700万円~4千万円の黒字という。
炭素の収支は、プラント稼働などによる排出分を差し引いても、
CO2換算で年間4960トンの吸収が可能と分かった。
渡邉さんは「最適な水質などの条件を調べ、
油の生産効率を10倍くらい上げたい」と話す。
石油をつくる藻類の研究は70年代後半に米国で
本格化したものの、実用化のメドがつかなかった。
しかし米国はここ数年、再び研究に力を入れ始めている。
トウモロコシや大豆などからつくるバイオ燃料について、
食糧との競合が問題化したことが追い風となっている。
日米に加えて、欧州勢も次々と研究に参画し始めている。
筑波大が持つ「沖縄株」は期待が高く、オランダやフランスなど
11カ国でつくる研究チームが、この秋からの共同研究を
申し入れている。
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採算ベースで成り立つ可能性は、どの位なのでしょうか?
確かに、石油資源は、いずれ枯渇するわけで、
石油を作り出す技術として是非とも、成功させたいですね。
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