太陽電池、盲点は「故障」
太陽電池、盲点は「故障」
買い取り増額も、点検制度の充実が課題に
2009年7月16日(木)時流超流 日経ビジネスONLINE
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7月1日、「エネルギー供給構造高度化法」が成立した。
政府は年内にも、家庭などの太陽電池で発電した余剰電力を、
現在の約2倍の価格で電力会社に買い取らせる制度を始める方針だ。
家庭で太陽電池を設置する場合、200万円前後の費用が必要になる。
設置時の補助金を考慮しても、現在の買い取り価格では投資回収に
20年近くかかる。
経済産業省は価格を2倍にすることで、回収期間を10~15年に
短縮できると見ている。
しかし、この議論には盲点がある。
投資を回収するまで、太陽電池が「壊れない」ことを
前提にしていることだ。
10年以内に交換する確率は約13%
国内大手メーカーは「10年保証」を掲げ、期間内に出力が10%低下した
場合に無償で交換に応じている。
この基準に多くのパネルが抵触した格好だ。
太陽電池が発電する直流電流を、家庭用の交流に変える
「パワーコンディショナー」はさらに不具合発生率が高い。
部品交換を含めると、10年以内に43台(17%)が交換されているという。
最大の問題は、点検制度が整備されていないことだ。
法律で定期点検を求めているのは、出力20キロワット以上の
太陽光発電システムに限られる。
家庭に設置されるのは3キロワット程度のものが主流なので、
メーカーや設置事業者には点検義務はない。
保安の責任を負うのは、あくまでも太陽電池を設置したユーザーだ。
だが、ユーザーにそんな技術もノウハウもない。
パネルの不具合を早期発見するには赤外線カメラなどの
特殊な装置が必要。
配線部分の接続不良は目視すれば見つけられる可能性があるが、
実際に屋根に上って確認するのは危険が伴う。
接続不良を放っておくと、下の写真のようにパネルが焦げる
ことにもなりかねない。
さらに、太陽電池は季節や天候によって発電量が大きく変動する。
仮に不具合で発電量が下がっていたとしても、ユーザーは「天気のせい」と
片づけてしまいがちだ。
そのため「交換していない太陽電池パネルの中にも、多くの不具合が
眠っている可能性がある」と加藤氏は語る。
保証期間が過ぎた後で問題に気づき、泣き寝入りしているユーザーも
少なくないという。
業界全体でどのように「消費者保護」の仕組みを整えるか。
これまでないがしろにされてきた問題を、真剣に考える必要がある。
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日経ビジネス 2009年7月13日号15ページより
なるほど、こういう問題があることを知っておく必要がありそうですね。
メーカーは良いことしか言わないから、ユーザも賢くならないと駄目です。
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