「脊髄小脳変性症の遺伝子治療」その3
常染色体優性遺伝の脊髄小脳変性症であるSCA3
(MJD:マシャド・ジョセフ病)の人に異常がでる
原因は、第14染色体の蛋白質への翻訳領域に存在する
CAGリピートの異常伸長によるものです。
CAGリピートはグルタミンをコードしていると考えられており、
伸長したポリグルタミンを有するタンパク質が作られ、
このタンパク質の凝集塊が小脳細胞に悪さをすると
考えられています。
従って現在のところ、有望な治療法として以下の3つが
有望だと思われます。
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1.悪さをする異常なタンパク質の凝集塊を分解してなくす方法
これは、脊髄小脳変性症の遺伝子治療として紹介したものです
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2.異常なタンパク質の凝集塊を作らないようにする方法
RNA干渉という技術を使って、遺伝子が異常であっても、
結果的に異常なタンパク質が出来ないようにする。
これは、「脊髄小脳変性症の遺伝子治療」その2にて
紹介したものです。
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3.異常なタンパク質の凝集塊が悪さをしないようにする方法
詳細は、
脊髄小脳変性症3型(SCA3)におけるカルシウムシグナリング
異常と治療への道筋
を見てください。2008年11月に発表
簡単に纏めると、異常なタンパク質の凝集塊が小脳神経細胞の
カルシウムシグナリングに影響を与え、結果として小脳神経
細胞死が生じるらしい。
細胞内カルシウムシグナルの安定化剤があり、治療薬となり得る
可能性があるということです。
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伸長したポリグルタミンに関して発生する病を
総称して、ポリグルタミン病と言い、同一のメカニズムで
発生する病気が複数あり、ほぼ同一の治療法が使えるものと
考えられます。
遺伝性の脊髄小脳変性症については、かなり有望な治療法が
見えてきて期待できますが、脊髄小脳変性症のほぼ60%をしめる
非遺伝性の脊髄小脳変性症の治療法については、どうなので
しょうか?
遺伝性の脊髄小脳変性症の治療法がかなり有用なヒントとなり、
結果、治療法につながるのでしょうか?
まだ、見えてきません。
詳しい方がおられたら、教えてください。
非遺伝性の脊髄小脳変性症の治療法解明が
進まないのは、献体がなく、進めようが
ないからでしょうか?
どういうことが起こっているのかを調べるには、
遺体解剖しかないと思われますが?
どうでしょう?
遺伝性であれば、モデルマウスなどを作ることが
可能でしょうが、非遺伝性ではできないと思われます。
詳しい方がおられたら、教えてください。
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