「脊髄小脳変性症の遺伝子治療」その2
マシャド・ジョセフ病モデルラットにおいて、
対立遺伝子特異的な変異アタキシン3RNAの発現を
抑制することで、神経細胞を保護することができる
2008年10月に発表
内容は、リンクを見てください。
内容の簡単な説明を以下にしましたので、参考に
してください。
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内容に入る前に、2008年6月27日 (金)に掲載した、
「脊髄小脳変性症の遺伝子治療」という記事
の内容に少し関連しますので、この記事内容から簡単に
説明いたします。
治療対象は、常染色体優性遺伝の脊髄小脳変性症である
SCA3(MJD:マシャド・ジョセフ病)で、
治療原理は、
異常な遺伝子で出来た、異常なタンパク質の凝集塊を
分解する遺伝子CRAGをレンチウイルスベクターにのせて
小脳内に入れてやることで、異常なタンパク質の凝集塊が
分解され、治療されるというものですが、
*病気の原因遺伝子は、アタキシン3でこのアタキシン3が
異常なタンパク質の凝集塊をつくる。
← この凝集塊の毒性で細胞が死んで行きます。
今回の研究は、同じようにレンチウイルスベクターを
使うのですが、分解する遺伝子を入れるのではなく、
RNA干渉法という技術を使って異常な遺伝子から
アタキシン3が出来ないようにすることで
治療しようとするものです。
→ アタキシン3が出来ない → 異常なタンパク質の凝集塊
が出来ない
いずれにしても、明らかな治療効果が期待できるものと
思われますので、一刻も早く、臨床の場で応用されるよう
願っております。
関連して、60%程をしめている、非遺伝性の脊髄小脳変性症
にも有効な治療法が発見されますように!
*RNA干渉とは,標的RNAに特異的な21から23塩基の
短いRNAの断片が,mRNAの特定の配列に結合することにより,
mRNAの翻訳が起こらなくなることを言う.
選別的にDNAの働きを止めることができる技術です。
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