誰のためのデジタル放送か?
興味深い記事です。
一個人の意見なので、他の人の意見も含めて良く、
議論していく必要があるでしょうが、
私は、下記の意見に同様の思いを感じます。
いろいろなところで感じるのですが、
日本の仕組みは、おかしいものが多すぎます。
もっとオープンでないといけないと思います。
隠蔽も多すぎる。隠蔽は改善につながらない。
誰でもわかるはずなのに!
大切なのは、責任者が辞任することではなくて、
それは、それとして、どう改善していくか、
その内容をオープンにしていかないといけないはずです。
日経ビジネスの記事(抜粋)をそのまま載せます。
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誰のためのデジタル放送か?
コピーワンス議論空転が映す変われない業界の体質
池田 信夫(いけだ・のぶお)氏
上武大学大学院 経営管理研究科 教授 談
1953年京都府生まれ。78年東京大学経済学部を卒業、
NHKに入る。93年退職。
国際大学グローバル コミュニケーション センター
(GLOCOM)教授、経済産業研究所上席研究員などを経て、
2005年4月ITNY代表取締役、情報通信政策フォーラム代表、
2006年10月から上武大学大学院客員教授。
学術博士(慶応義塾大学)。
著書に『電波利権』(2006年、新潮社)などがある。
・誰のための「コピープロテクト」、誰のための放送なのか?
そもそも、コンテンツにコピープロテクトをかける権利が
テレビ局にあるのかってことを論じなきゃいけないんです。
こんなことをやっているのは日本だけなんです。
米国では、3年ぐらい前に同様の議論がありました。
米連邦通信委員会(FCC)が、日本よりもずっと緩い制限を
かけようと技術条件を提案したら、大反対が起きて、
訴訟になって、ついに潰されてしまったのです。
ところが日本では、FCCがやろうとしたことよりもはるかに
“横暴”なコピーワンスなんてものが、視聴者にはほとんど
何の説明もないままに導入された。
こういうやり方がまかり通っていることが本当に不思議です。
この問題に関して米国がまだ日本よりマシなのは、FCCという
公的機関が「こうしたい」ということを公に提案して、
公聴会をやった。
結局、がんがん反対が出てきて潰れたわけだけど、
正常で正当なプロセスを踏んでいた。
しかし、日本は違う。
コピーワンスの技術仕様を詰めたのは電波産業会(ARIB)
という社団法人ですよ。
名目上は民間企業が集まって自主的に検討したという形に
なっている。
だから、アカウンタビリティー(説明責任)が求められない。
パブリックコメントも必要ない。
でも、ARIBの幹部は総務省のOBですよ。
実質的に総務省、つまり国がやらせているのに、
プライベートな仕組みを通すことで“抜け道”になっている。
放送は誰のためにやるのかっていう根本的な議論が抜けていると
思うんですよ。
テレビ局が自分たちの既得権を守ることがまず最初にあって、
行政がそれを事実上黙認して、やってみたら大変なことになり
ましたって、今頃になって騒いでいるわけです。
国民には詳しいことが知らされないまま、テレビ局の勝手な
都合が押し通された結果です。
・著作権延長が守るのは映画会社の利益だけ
映画については一足先に著作権法が改正されました。
2003年12月31日までは「公開後50年」が保護期間でしたが、
2004年1月1日から「公開後70年」に延長されたのです。
法改正ぎりぎりのタイミングで著作権が切れたのは
1953年に公開された作品で、
例えばオードリー・ヘップバーンが主演した「ローマの休日」
がそれに当たります。
著作権が切れたということで、500円くらいの廉価版DVDが販売
されるようになりました
著作権保護期間を延長することはクリエーターの
インセンティブになるという意見がありますが、
「ローマの休日」にかかわった人たちはほとんど亡くなって
いるわけですから、遺族に多少の著作権料が支払われた
としても、亡くなってしまった俳優やアーティストの意欲を
高めることにはなるはずもない。
これから制作される作品について著作権を延長するのなら
ともかく、過去の作品の著作権を延長しても、
世の中にとって意味のあるインセンティブにはならない。
そして、コピーワンスに関しても同じような構造が透けて
見えてきます。
デジタル番組のコピーを制限することで守られるのは、
テレビ局や映画会社の利益であって、テレビ番組を実際に
作ったプロダクションなんかにはお金は行きっこない。
「発掘!あるある大事典II」の騒ぎで僕がびっくりしたのは、
番組制作費3200万円のうち、下請け、孫請けのところには
860万円しか支払われていなかったという事実です。
大半のお金は放送局が中間搾取していて、現場のクリエーター
には回っていなかった。
コピーワンスが守ろうとしているのは、現場の著作者の権利で
はなくて放送局の“搾取権”なんです。
今よりも、著作権保護を強化してほしいなどと思っている
プロダクションのディレクターはいませんよ。
彼らが一番不満に思っているのは、3200万円の制作費のうち、
どうして自分たちのところには860万円しか回ってこないのか
ってことです。
大半のお金が中間で抜かれていることが悔しいんです。
その構造を見直さない限り、クリエーターたちの
インセンティブが上がるはずがない。
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